東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム(アルムナイとの共同研究)研究概要(2025年度採択)

学際科学フロンティア研究所

郭 媛元 准教授

採択課題名
回転型熱延伸技術による磁気μCoilファイバの開発と⾮侵襲的ニューロモデュレーションへの応⽤
実施年度 2025-2026

神経疾患や精神疾患の治療において、電気・磁気・光といった物理刺激を用いたニューロモデュレーション技術は、神経回路の機能を精密に制御する革新的治療法として近年注目を集めている。なかでも磁気刺激は、頭蓋骨を通して非侵襲的に脳刺激を行えるという利点を有するが、既存の経頭蓋磁気刺激(TMS)装置は大型であり、空間分解能や標的刺激の精度に課題が残されている。

本研究は、これらの課題を克服し、深部脳領域や末梢神経系を標的とする高精度かつ局所的な磁気刺激を実現する新規デバイスとして、磁気μCoilファイバの開発を目的とする。具体的には、筆者らが独自に確立した回転型熱延伸技術(S. Kato et al, Microsystems & Nanoengineering 10.1 (2024):14、特許出願(特願 2024-198881))を用いて、磁気マイクロコイル(μCoil)を内包した細径かつ柔軟なマルチマテリアルファイバを開発する。本ファイバは柔軟性と微小サイズを兼ね備えながら、局所的かつ空間的に精密な磁場刺激を可能にする点で従来技術にはない特徴を有する。

この技術により、従来では到達が困難であった深部脳や末梢神経の特定部位への選択的刺激が可能となり、神経疾患や精神疾患の病態解明、新たな診断・治療法の開発に資することが期待される。さらに、将来的にはウェアラブルデバイスや埋め込み型医療機器への応用にも展開可能であり、次世代ニューロモデュレーションの基盤技術となることを目指している。

 
 
 
 
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