公募研究
学際研究共創プログラム(アルムナイとの共同研究)研究概要(2025年度採択)
学際科学フロンティア研究所
金村 進吾 助教
採択課題名 |
動的かつ定量的解析による蛋白質間相互作用の統合的理解
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実施年度 | 2025-2026 |
本研究では、タンパク質間相互作用の分子メカニズムを「動的かつ定量的に」理解することを目指す。細胞内外においてタンパク質同士が特異的に結びつく現象は、シグナル伝達、代謝、免疫応答などあらゆる生命現象の基盤であり、その仕組みを分子レベルで解明することは、創薬や疾患研究、分子設計において極めて重要である。これまでの研究では、X線結晶構造解析などによる「静的な構造情報」を中心に、相互作用の理解が進められてきたが、タンパク質は常に動いており、その「動的なふるまい」こそが機能の本質を左右すると考えられる。 研究代表者・金村は、生化学的および構造生物学的手法を駆使して、蛋白質間相互作用を実験的に検証する。一方で、分担者・馬渕(アルムナイ)は、計算科学的手法を用いて、相互作用部位の同定、界面の動的揺らぎ、結合エネルギーの時間的変化、さらには溶媒環境の影響といった、実験では捉えきれない理論的側面の可視化と定量化を担う。両者の連携により、実験と理論が補完的に機能する高精度かつ高解像度な解析戦略を展開する。 本研究により、静的な構造情報に依存した従来の理解を越え、動的かつ機能的視点を包括した蛋白質間相互作用の統合的理解とその制御原理の確立が期待される。これは、相互作用を標的とする革新的な創薬アプローチや分子設計技術の高度化に直結し、構造生化学および計算科学の学術的発展と応用的展開の両面において大きな波及効果をもたらす。 |