公募研究
学際研究共創プログラム(アルムナイとの共同研究)研究概要(2025年度採択)
学際科学フロンティア研究所
丹羽 伸介 准教授
採択課題名 |
DNAオリガミを⽤いた⼈⼯中⼼体の構築
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実施年度 | 2025-2026 |
本研究は、細胞の構造を支える微小管が「中心体」という細胞内小器官からどのように形成されるか、そのメカニズムを真に理解することを目的としています。近年、中心体を構成するタンパク質の複合体構造が解明されつつありますが、「構造がわかっても、それを作れなければ本当に理解したとは言えない」という考えに基づき、中心体を人工的に構築するというアプローチを取ります 。 細胞内で微小管形成の足場となるγチュブリンリング複合体(γ-TuRC)は直径25ナノメートルの環状構造をしており、この大きさが微小管の直径を決定しているという説がありますが、生きた細胞でγ-TuRCの大きさを変えることは不可能です。そこで、材料工学の技術を駆使し、様々な直径を持つ環状の足場を設計・構築して、γ-TuRCを模倣した構造を人工的に構築します。本研究で作成するこの人工的な足場は、γ-TuRCのサイズと微小管の直径の関係を検証する上で極めて有効です。この人工γ-TuRCから実際に微小管が形成されるかを、全反射蛍光顕微鏡法(TIRF)を用いて観察します。単純なリング状の足場だけでなく、より生体内のγ-TuRCに近いらせん構造の足場も試し、どちらが微小管形成により適しているかを比較検討します。さらに、形成された微小管の直径を電子顕微鏡で精密に測定し、人工γ-TuRCの直径との相関を直接的に調べます。 将来的にはこの研究を発展させることで、「人工細胞内小器官の構築」という新たな学術分野の創出を目指します。 |