公募研究
学際研究共創プログラム(アルムナイとの共同研究)研究概要(2025年度採択)
学際科学フロンティア研究所
佐藤 伸一 准教授
採択課題名 |
アルツハイマー型認知症の原因タンパク質の精密構造認識による診断薬開発
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実施年度 | 2025-2026 |
アルツハイマー型認知症は、脳内でtauというタンパク質が異常に固まって蓄積することで発症する。このtauの「かたまり方(凝集構造)」には複数のパターンがあり、病気の進行度や症状の違いと密接に関係している。現在の診断技術は「tauがどれだけ増えたか」しか測定できないが、「どのような形で固まっているか」を識別できれば、より早期で正確な診断が可能になる。 本研究は、ケミカルバイオロジー(タンパク質化学標識)と核薬学(PETプローブ化学)の学際的融合により、従来にない診断技術開発を目指す。研究代表者の佐藤伸一准教授は不可逆的タンパク質凝集標識技術を開発し、共有結合型プローブによる凝集核の構造多型解析を目指している。一方でFRISアルムナイの古本祥三氏(東北大学先端量子ビーム科学研究センター教授)は、tau選択的PETプローブ開発で世界をリードした業績を有する。 本研究の特色は、佐藤の凝集性標識プローブ概念と古本のtau選択性プローブ知見・化合物ライブラリーの融合にある。(1)タンパク質反応性評価、(2)新プローブ分子デザイン・合成、(3)生体由来サンプル評価実験を通じて、tauの特定凝集構造多型を識別する技術を開発し、疾患早期診断に資する診断薬候補分子を開発する。凝集核の構造多型を識別できる技術は、tauの量的変化を見る従来の体外診断薬には無い新しい価値であり、佐藤の凝集性標識プローブ概念と古本のtau選択性プローブ知見・化合物ライブラリーの融合により初めて達成可能である。凝集核の構造多型識別技術は、従来の体外診断薬にない新価値であり、早期・精密診断技術への発展可能性を有する。 |