東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

領域創成研究プログラム 研究概要(2015年度採択)

歯学研究科

工藤 忠明 助教

採択課題名 温度制御式反復温熱刺激による神経細胞分化調節機構の解析
実施年度 2015-2016

超高齢社会を迎えた日本では、脳卒中の後遺症や脊髄損傷の四肢麻痺に苦しむ患者数は200万人を超える。医学の進歩に伴い、脳卒中での死亡率は低下しているが、一方では結果的に障害者を年々増加させる皮肉な現象を惹起している。ゆえに脳や脊髄損傷後の運動機能回復治療への需要は年々大きくなるばかりであり、医工連携による新たなリハビリテーションシステムの開発が望まれている。

神経突起形成は機能的な神経回路の発達や損傷後の神経系の再生における必須の過程である。これまで温熱療法は、安全な癌治療の開発・実践の観点から注目を受けているが、精密な温度制御下での反復温熱刺激が神経細胞分化にいかなる影響を与えるかについての研究は、世界的にもこれまでほとんど行われてこなかった。申請者らのグループは最近、加熱プレートを神経分化モデルのラット副腎髄質由来PC12細胞株に適用し、温度制御式反復温熱刺激(TRTS)が神経突起形成を誘導することを明らかにした(Kudo et al.,Plos One, 2015)。しかし、TRTSの作用機序は不明点が多い。

本研究では、加熱プレートとPC12細胞等の神経細胞分化モデルを用い、TRTSによる神経突起伸長の調節機構について、損傷を受けた神経回路のバイパス形成促進の観点から更なる検討を行う。

図1. 本研究における温熱刺激法の模式図

A. 温熱刺激なし、B. 温熱刺激あり (7日目)
図2. 温熱刺激による神経細胞分化誘導

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