東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2014年度採択)

流体科学研究所

石本 淳 教授

採択課題名 極低温マイクロ・ナノ固体粒子を用いた環境調和型洗浄法の開発と高密度水素貯蔵への展開
実施年度 2014-2016

近年、ナノデバイス微細化の進展に伴い、高アスペクト比のフォトレジストやパターンが薬液洗浄時に倒壊する現象が発生し、洗浄プロセスにおける困難な問題として浮上してきた。これは、パターントレンチ間に残留した水の表面張力に起因する毛管力により、マイクロ・ナノ構造物が塑性変形し、倒壊や癒着を起こすためである。このため、超微細加工においては、表面張力の大きな水をなるべく使用しないことが将来的に要請されつつある。表面張力の小さい人体に有害な臭化物等の有機溶媒を用いる洗浄法は、地球環境保全上からも好ましくない。このため、ナノデバイスに対し適用可能な水を用いない(Non-aqueous)ドライ洗浄技術の開発が注目されている。

そこで本研究では、水を使用する必要の無い極低温マイクロ・ナノ固体窒素(Solid Nitrogen, SN2)粒子の高機能性に着目した環境調和型半導体洗浄システム、太陽電池・タッチパネル用ITO 膜(酸化インジウムスズ)のはく離技術、ならびに一成分型極低温粒子連続生成法の活用による高密度水素貯蔵技術に関し異分野融合型の研究開発を行う。

本提案による半導体洗浄システムは、水噴霧方式に変わる新洗浄方式である超断熱二流体ラバルノズル方式による極低温窒素混相流の超音速加速とメガソニック微粒化・氷核生成促進の融合技術により生成される、極低温マイクロ・ナノ固体粒子の運動力学的高速衝突と超高熱流束冷却の相乗効果を利用するものである。従来型の酸素プラズマを利用したアッシングプロセス・溶液分離とは異なる全く新しい原理からなる、サステナビリティの高い半導体洗浄システムと希少金属のリサイクル技術に直結するITO 膜はく離システム、さらには高密度・低容積水素貯蔵システムの開発をめざしている。

  • (a)融合型スーパコンピューティング

  • (b)マイクロ・ナノ固体窒素粒子の生成実験

超断熱二流体ラバルノズル方式による極低温マイクロ・ナノ固体粒子の連続生成

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