東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2014年度採択)

薬学研究科

立川 正憲 准教授

採択課題名 プラズマ膜輸送ダイナミクスの解明と医用応用
実施年度 2014-2016

病変部位選択的に、低分子量の薬剤及び、遺伝子やタンパク質などの高分子薬剤を効率よく送達するドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)の開発は、安全で効果的な次世代型医療を実現するうえで重要な課題です。今こそ、薬物の細胞膜透過機構など生体メカニズムの解明を中心に発展した生物薬剤学分野のDDS研究と、薬剤封入素材の開発や物理化学的性質に基づく薬剤透過制御技術など工学分野を中心に発展したDDS研究、及びヒト疾患の医学的研究を学際的視点から融合することによって、新たなDDS開発を実現できる可能性があります。

これまでに私たちは、標的タンパク質の絶対定量技術を確立(Fluids Barriers CNS 10:21, 2013)して、新しい細胞膜の透過機構を同定するとともに薬剤の細胞膜透過を定量的に予測する方法論を構築してきました。工学分野の金子俊郎博士らは、細胞にわずか数秒間プラズマを照射することで、薬剤の細胞膜透過性が亢進することを見出しています(Applied Physics Express 7:026202, 2014)。さらに臨床医学分野の大塚英郎博士らは、悪性腫瘍の臨床医学に基づく分子生物学的研究において多くの成果を上げてきました。本プログラム研究では、生物薬剤学、プラズマ工学及び臨床医学を融合することによって、プラズマによる細胞膜輸送ダイナミクスの分子機構を解明(図参照)し、「プラズマ薬動力学」の学際的な基礎学問領域を創成することで、新しいDDS技術の基盤を構築することを目的とします。さらに、これらの基礎研究の成果をヒト臨床試験の成功率が未だ最も低いとされる、がんや中枢神経疾患の治療薬DDSに応用することを目指します。

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