東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2015年度採択)

金属材料研究所

黒澤 俊介 助教

採択課題名 次世代高エネルギー物理学を担う新規結晶の開発
実施年度 2014-2016

観測的宇宙論等の議論により宇宙の構成物質のうち20%超を占める暗黒物質の存在がわかっているが、未検出でその正体も不明である。また、ニュートリノに質量があることはスーパーカミオカンデ等でのニュートリノ振動の観測により実証されてきたが、絶対質量は未解明である。これらの問題は、現代物理学の最大の課題となっている。暗黒物質探査では、宇宙線(陽子等)や地殻や空気中に含まれるラドンからのアルファ線などのバックグラウンドとの切り分けが非常に困難であり、またニュートリノの絶対質量測定にはニュートリノが放出されない2重ベータ崩壊と呼ばれる事象を検出することが有効であるが、地殻に含まれるトリウム系列の208Tl から生ずるγ線(2.615MeV)等のバックグラウンドと区別が困難であるのが現状である。

暗黒物質や2重ベータ崩壊事象の検出では、エネルギー情報のみ取得する検出器デザインであったが、近年、この情報に加えて方向情報も検出することで、バックグラウンドとの除去が行われ、飛躍的に感度が上がり、暗黒物質や2重ベータ崩壊事象の検出の可能性が指摘されている。

本プロジェクトでは①暗黒物質探査として粒子の入射方向によって発光量異なるシンチレータ結晶の開発と大型化、および②2重ベータ崩壊探索実験用にNdを含んだファイバー形状の結晶育成および発光量増大を目指した組成の最適化を、結晶育成、評価の専門家と、①や②の実験に携わっている東京大学宇宙線研究所、および宮城教育大学の研究者とともに執り進めている。

超断熱二流体ラバルノズル方式による極低温マイクロ・ナノ固体粒子の連続生成

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