東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2016年度採択)

理学研究科

掛川 武 教授

採択課題名
アミノ酸から細胞分裂まで:東北大の強みを生かした生命起源研究の新展開
実施年度 2016-2018

生命起源に関する問題は科学者を魅了してきている。近年では生命起源をキーワードにした国際的大型研究が展開されている。東北大では生命起源研究に関して実績や高ポテンシャルのシード(種)があるにもかかわらず、組織立った研究は行われていない。本提案では、東北大で生命起源研究を行っている研究者ネットワークを作り、異分野融合研究を展開し、東北大生命起源研究の国際的プレゼンスを格段に高めることを主目的とする。具体的には (1)生命材料物質の準備、(2)生命材料物質の組み立て、(3)最初の細胞膜(プロトセル)の可能性、(4)地球科学をベースにした多様ディシプリンを融合させ、各種実験、観察を行い、それによって他の研究機関で到達できなかった初期地球に根を持った生命の誕生のシナリオを確立する。我々は初期海洋への隕石衝突によるタンパク質構成アミノ酸(グリシンやアラニンなど)や核酸塩基生成(シトシン、ウラシルなど)に成功し高温高圧有機合成化学の新領域を開拓した。さらに初期地球蒸発環境によるヌクレオチド生成、それを支持する38億年前の岩石の発見、海底下高圧環境での生体構成ペプチド(ベータシート、メチオニンペプチドなど)の生成、リン脂質以外の有機物、鉱物細胞膜の可能性が解明されてきている。それと同時に、初期地球特有のダイナミックな動きがバラバラだった生体材料を組み立てたとする新設を提唱し、「なぜ地球に生命が誕生したのか」「どのように大気と海と石だけの初期地球が生命に満ちた有機世界に変わったのか」という根本的問いに答えを見出してきている。

生命の起源に関する東北大説:初期地球のダイナミックスが生命を作った

PAGE TOP