公募研究
学際研究支援プログラム 研究概要(2016年度採択)
金属材料研究所
梅津 理恵 准教授
採択課題名 |
機能性材料のドメイン構造解析と電歪特性制御
|
---|---|
実施年度 | 2016-2018 |
環境発電(エネルギーハーベスティング)技術は、身の回りの機械的振動、熱源などからの熱エネルギーを電力に変換する技術であり、微少なエネルギーから有用な電力を作り出すという点で非常に注目されている。これらの技術の中で、振動エネルギーによる発電は「振動発電」と呼ばれており、将来有望な環境発電技術の一つと期待されている。振動発電のエネルギー源としては、モーター、エンジン、その他の機械的な振動エネルギー、橋や道路などの建造物からの振動エネルギーなどがある。これらのエネルギーを電力に変換する方法として、 圧電素子(電歪材料)を用いた発電、磁歪材料の逆磁歪効果を利用した発電などが挙げられる。この振動発電では、方式に応じて特徴的な電圧や電流が得られるが、比較的少電力ながらも、半永久的に供給されることが望まれる「ワイヤレスセンサーネットワーク」において、このような振動発電は非常に適している。 圧電素子や磁歪材料の巨視的な特性(歪⇔磁場・電場変化)に関する研究は古くから行われてきたが、材料のもつポテンシャルを最大限に引き出し、特性を制御するためには、微視的な格子歪と磁気的・電気的ドメイン構造の関連性、そしてこれらの微視的なドメイン壁の移動に起因する巨視的な電歪・磁歪効果の発現機構を解明することが必要不可欠である。本研究課題では、圧電素子としてBaTiO3、磁歪材料としてFe-Ga, およびNi-Co-Mn-In合金に着眼し、微小な振動を電力エネルギーに最大限変換するための材料最適化の指針を確立することを目的としている。 |
図1.Fe-Ga合金の磁壁 図2. 磁区構造変化と磁歪の発生