公募研究
国際共同研究支援 報告
今回、平成29年度「若手研究者国際共同研究支援プログラム」の助成を受け、アメリカコネチカット州ニューヘイブンにある Yale 大学を訪問してきました(写真A)。筆者はこれまで、金属ガラスを原料とした微小部品の作製並びにランダム系非平衡材料の構造若返りの研究に着手してきましたが、それらの研究と深く関連があり、金属ガラスの精密成型の分野で世界最先端の成果を挙げているYale School of Engineering & Applied ScienceのJan Schroers教授のもと研究を行ってきました(写真B)。訪問研究員という形で、2017年7月1日から2018年2月16日までのおおよそ8ヵ月間、そちらに滞在させていただきましたが、今回のプログラムの目的は、液体窒素-室温間での冷却サイクルを通じた金属ガラスの構造若返りの検証及びその評価でした。具体的には、清浄なノッチを有する試験片を精密成型により作製し、それに冷却サイクルを施した後、破壊靭性試験を行うことで金属ガラス試料をしなやかにすることが可能であるかを検討するといった内容でした。
得られた成果としては、冷却サイクル後にもろくなる材料としなやかになる材料が存在し、それが金属ガラス内部の不均質性と大きな関係があるのではないかという新たな仮説をたてることができました。
研究室では実験の他に週に2回ミーティングが行われていましたが、学生・教授を問わず自由な議論を通じてみんなで新たなアイディアを生み出そうとする姿勢が非常に印象的でした。そんな中、筆者自身もこれまでの研究内容を発表する機会をいただき、とても貴重な経験ができました(写真C)。
今回、これまでとは全く異なる新たな環境に身を置くことで、非常に新鮮な気持ちで自身の研究と向き合うことができ、実験することの楽しさを実感することができました。言語や研究装置等、慣れないものも多く少しは苦労もしましたが、学部4年生の頃の研究室配属時と同じような初心の気持ちに帰って、自由な発想のもと、のびのびと研究をすることができました。
また研究以外にも、勤務時間外には英会話教室に通い、語学力の向上や異文化交流を通じて、国際性を養うこともでき、非常に充実したアメリカ生活を送ることができました。
このような素晴らしい機会を与えていただきました「若手研究者国際共同支援プログラム」に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
イエール大学のあるニューヘイブンの街並み 研究室のあった Becton center 前で撮った写真
自身の研究内容を発表している様子 Schroers 教授との写真