東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

国際共同研究支援 報告

武田 翔(先端学際基幹研究部 学術研究員)

フランス・リヨン、国立中央理工科学校リヨン校トライボロジー研究所

期間/2018.12.11-12.26

 平成30年度「若手研究者国際共同研究支援プログラム」の助成を受け、フランスのリヨン(写真A)の国立中央理工科学校リヨン校(École Centrale de Lyon)を訪問致しました。 筆者は博士課程在学中に、同校と本学との国際共同学位取得制度(ダブルディグリープログラム)に参加し、同校のトライボロジー研究所(Laboratoire de tribologie et dynamique des systèmes)(写真B)に合計1年間滞在しておりました。トライボロジー研究所は摩擦・摩耗の分野では世界でもトップレベルの研究機関であり、筆者はその1年間の滞在で、純金属粉末粒子の二軸力による接合プロセスと摩擦試験中の摩耗粉の凝着現象の類似性に着目し、摩擦試験機を用いることで純銅粉末粒子の接合メカニズムを明らかにしています。 今回もそのトライボロジー研究所に滞在し、フランス国立科学研究センター(Centre national de la recherche scientifique)研究員のDr. Julien FONTAINEとの共同研究の下、摩擦試験機を用いた実験を行いました。今回はこれまでに得られた成果を更に発展させるため、2種類の金属材料の混合粉末を対象とした実験を行いました。具体的には、150~200℃に昇温した状態で摩擦試験機により単軸圧粉体に2軸の応力を付与することで、粉末粒子同士を接合させるとともに合金化することを試みました(写真C)。通常この温度域では今回選択した異種金属を合金化するのは難しいのですが、今回の実験で局所的に応力を付与することで、200℃以下の比較的低温下での合金化に成功しております。 今後は合金化と付与する応力の関係性について、組織観察と数値計算を行うことで定量的な評価を試みる予定です。短期間ではありましたが、先方の職員の方々の支援のお陰で、よい成果を得ることができました。特に、学術的議論や実験方針の打ち合わせをさせて頂いたDr. Julien FONTAINE、並びに実験装置の設定をして頂いたMatthieu GUIBERTさんに、ここに記して感謝致します。加えて研究者との議論の中で今後の共同研究に繋がる新しいアイディアが生まれたことも、今回の渡航の成果のひとつです。

 

何度か滞在しているリヨンですが、今回は職員として研究をするということでまた違った心持ちで臨むことが出来ました。職員の立場で海外の研究機関で実験や議論をするという経験は得難い経験であると同時に、これから共同研究をする上で日本式とフランス式のやり方の擦り合わせをする際などに有益なものだと感じております。

 

また今回は日本人の学生の方々が何人か滞在されており、海外生活の経験など情報共有ができたのも異文化交流の興味深い経験になりました。

 

最後になりましたが、「若手研究者国際共同支援プログラム」には大変素晴らしい共同研究の機会を頂きました。ここに記して感謝申し上げます。

写真A(左):リヨンの街並み
写真B(中):トライボロジー研究所
写真C(右):実験中の筆者

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