東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

丹羽 伸介(新領域創成研究部 助教)

Janelia Conference "The long and winding road: Neuronal Trafficking in Physiology and Disease"
開催地/アメリカ・ホノルル

期間/2015.5.31-6.5

学際科学フロンティア研究所の海外研究集会発表支援プログラムに採択して頂き、2015年5月31日~6月3日にJanelia Research Campus(アメリカ合衆国バージニア州)で開催されたJanelia Conferenceに参加し、最近の研究成果について発表を行なってきました。Janelia Research Campusはハワードヒューズ医学研究所(HHMI)が出資して作った研究所です。HHMIはそれまでは研究所を持たずに、全米トップクラスの個々の研究者に資金援助をしてきた民間財団です。しかし、これからの神経生物学にはイメージング技術、コンピュータによる画像解析、神経回路の解明、神経回路による情報処理といった学際的なアプローチを統合的に用いることが必要であるという考えのもと、様々な分野の研究者を一カ所に集結するために研究所が設立されました。また、哺乳類の脳だけではなく、ショウジョウバエや線虫といった様々なモデル生物を用いる研究者が所属しています。ミーティングの空き時間に研究所内部を見学してみましたが、日本では考えられないような豪勢な研究設備に目を見張るばかりでした。

Janelia ConferenceはこのJanelia Reserach Campusにおいてテーマを限定して開かれる小規模なミーティングで、その研究分野で世界をリードする研究者が集まります。事前審査があり、採択された研究者だけが参加することができます。今回のミーティングのテーマは「神経細胞における細胞内輸送と神経疾患」でした。神経細胞は軸索という、ときに1mにも達する長い突起を使って情報伝達を行っています。この長い軸索の先端に神経伝達物質などを届けるのに必須の機構が「軸索輸送」と呼ばれる細胞内輸送機構です。軸索輸送に異常が起こると脊索硬化症や末梢神経障害などの病気が引き起こされるため、軸索輸送の機構は私たちの健康にも密接な関係があります。ミーティングでは未発表データを中心に非常に活発な議論が行われました。私も「軸索輸送のモータータンパク質の制御機構」に関して口頭発表する機会をいただき、論文でしか名前を見たことがないような研究者たちと直接討論することができました。また、現在共同研究をしているスタンフォード大のKang Shen教授とも久しぶりに会い、最近の結果について情報交換することができました。

このような機会を与えて頂き、若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムには感謝いたします。

  • 左:研究所前の池

  • 右:研究所

  • 左:看板

  • 右:1階ロビー ゴージャスな研究所

PAGE TOP