東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

高 俊弘(新領域創成研究部 助教)

American Diabetes Association’s (ADA) 75th Scientific Sessions
開催地/アメリカ・ボストン

期間/2015.6.3-13

この度、学際科学フロンティア研究所の海外共同研究および発表支援プログラムに採択して頂き、アメリカ合衆国ボストンにて2015年6月5日~9日に開催された国際会議“American Diabetes Association 75th Scientific Session”に参加し、最近の研究成果について発表しました。当該会議は1年に一度開催され、世界各国から参加者が集まる活発な会議であり、1万人をはるかに超える大型国際学会で、糖尿病及びその関連疾患に対する基礎から臨床への最新の情報交流会で、この会議での学術動きは世界中の研究者、臨床医者たちが注目している需要な会議であります。

今回私は、"CHOP Mediates Insulin Resistance via Adipose Tissue Macrophage Polarization" という題目でポスター発表を行いました。この演題は会場のGuided Audioに選ばれ、世界各国の研究者たちに興味を持っていろいろ質問もありました。

高脂肪食など肥満の上体では白色脂肪組織にマクロファージ浸潤が増大し、慢性炎症状態であると考えられますが非肥満状態の白色脂肪組織では、抗炎症作用をもつM2型マクロファージが大部分を占めていて、高脂肪食負荷による肥満状態では、炎症惹起作用をもつM1型マクロファージが誘導され慢性炎症状態とインスリン抵抗性を形成しています。本研究では肥満により誘導されたインスリン抵抗性の進展における、小胞体ストレスタンパクCHOP(C/EBP homologous protein)の役割を検討を行いました。高脂肪食負荷による肥満状態において、CHOP欠損マウスは末梢インスリン抵抗性の悪化が軽減されていた為、耐糖能悪化が抑制されていて、野生型マウスの白色脂肪組織においては、高脂肪食負荷はCHOP発現を増大させ、マクロファージの極性をM1型に誘導していました。対照的に、CHOP欠損マウスでは白色脂肪組織に浸潤しているマクロファージの総量は同程度であったが、その極性はM2型が優位でした。骨髄移植実験から脂肪細胞のCHOPが脂肪組織のマクロファージ極性変換に重要な役割果たして、これらの実験結果から、高脂肪食負荷により誘導された小胞体ストレスは、脂肪組織のCHOP発現増加に寄与し、M1型マクロファージへの極性変化に重要な役割を担い、インスリン抵抗性を誘導しているものと考えられました。そこで今回、同じ分野ばかりではなく、異分野の研究者たちとさまざまな意見交流ができ、貴重な経験にもなりましたし、今後の研究に役に立ついい提案などをたくさんいただくことができました。

このような素晴らしい機会を与えて下さいました、海外共同研究および発表支援プログラムに心より感謝申し上げます。

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