東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

田中 幹人(新領域創成研究部 助教)

XXIX IAU General Assembly
開催地/アメリカ・ハワイ

期間/2015.8.2-16

2015年8月に学際科学フロンティア研究所の支援を受けて、International Astronomical Union General Assembly(IAU、国際天文学会連合総会)に参加してきました。総会は3年に一度開かれ、天文学業界で世界最大の研究会です。宇宙の自然科学研究だけでなく、アウトリーチや教育、テクノロジー活用などのセッションも開かれています。バンケットでは、我々が着席したテーブルに、たまたまカナダ人宇宙飛行士のジュリー・ペイエットさんも同席され、非常に刺激的な話も伺うことができました。

今回のIAU総会では、私が専門としている銀河考古学の特に銀河ハローに特化したシンポジウムが開かれ、主にそのシンポジウムで私の最新成果を発表してきました。シンポジウムで発表した内容は、すばる望遠鏡のHyper Suprime-Cam (HSC) という観測装置(約8億7000万画素の超巨大デジカメ)を用いて観測したNGC4631の研究成果です。NGC4631はある渦巻銀河の名称で、その銀河の近くにあるNGC4656という不規則銀河との潮汐力による相互作用が現在進行形で進んでいる銀河です。ゆくゆくこの2つの銀河は合体して1つの銀河へと進化することが予想されますが、目に見えて相互作用が進んでいる銀河たちの恒星ハローがどのような状態になっているのかこれまで調べられていなかったので、私の研究成果はその問いへ1つの知見をもたらすと考えています。とりわけすばる望遠鏡とHSCを使うと、それらの銀河の星々が一つ一つ手に取るように分かるので適した望遠鏡だと言えます。IAU総会での発表では、まず初期成果として、NGC4631ハローに分布する矮小銀河を新たに複数個発見した内容について報告しました。矮小銀河は大銀河の起源天体であると考えられていますので、今回、それらを相互作用が進んでいるハローにおいて複数発見したことは、今後の空間分布、運動、金属量などの物理情報を追観測で確かめることによってハロー形成にさらなる知見をもたらすことを期待しています。今回、私は可視光での観測結果を発表したところ、同じ銀河を電波観測している研究者から比較できる旨を頂き国際的な共同研究へと発展する機会も得ることができました。

IAU総会への参加は、自分の研究分野だけにとどまらず天文学の多種多様な研究者から知見を得ることができ、今まで以上に幅広い視野を持った国際的な研究者へと成長することができたと感じています。今回、このような素晴らしい機会を与えていただいた海外研究集会発表支援プログラムに心より感謝申し上げます。

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