東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

下西 隆(新領域創成研究部 助教)

Water in the Universe: From Clouds to Oceans
開催地/オランダ・ノールウェイク

期間/2016.4.11-4.17

若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムの支援を受け、2016年4月11日から4月17日にかけて、オランダの欧州宇宙技術研究センターにて開催された国際研究会"Water in the Universe: From Clouds to Oceans "に参加し、研究成果の口頭発表を行った。本研究集会は、「宇宙の水」をテーマとして、太陽内から系外銀河まで様々な環境に存在する水の研究を行う研究者らが一堂に会し、最先端の成果を発表する場である。本研究会において、私は自身がPIをつとめる日仏国際共同研究チームによる最新の研究成果の発表を行った。本研究は、観測天文学の知見を軸として、宇宙空間に存在する水や有機分子の生成メカニズム及び化学的多様性を明らかにすることを目的としており、原始の地球上に存在した水や生命の元となる有機物質の起源及び宇宙におけるその多様性を解明する上で重要な知見をもたらす。

発表では、我々の住む天の川銀河とは異なる環境を持つ系外銀河に存在する水及び有機分子の性質について報告し、本研究の成果を広く世界の研究コミュニティへと周知させることができた (講演題目"Observations of Water and Methanol Ices in the Large Magellanic Cloud ")。宇宙空間の水や有機分子の観測的研究は、太陽系内の天体又は太陽系近傍の天体を対象としたものが多い。銀河系外、しかも天の川銀河とは大きく環境の異なる銀河の中にある生まれたばかりの星に着目し、星や惑星の材料となる水や有機分子の観測を行った本研究のユニークな結果は、本研究会においても大きな関心を集めた。なお発表内容は既に論文として出版されている (Shimonishi et al. 2016, A&A 585, A107)。発表に際しては、多くの研究者と活発な議論を行い、当該分野における自身のプレゼンスを高めることができた。また、一つのテーマを元に様々な分野の研究者が集まる本研究会に参加したことで、自身の研究分野とそれを取り囲む幅広い研究分野とのつながりを再認識し、自らの科学的な知見を広げることができた。このような機会を与えて下さった若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムには心より感謝を申し上げる。

会議場となった欧州宇宙技術研究センターの最寄り駅があるLeidenは、運河が走る美しい街であった。

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