東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

船本 健一(新領域創成研究部 准教授)

The 16th International Conference on Biomedical Engineering (ICBME 2016)
開催地/アメリカ・ホノルル

期間/2016.12.6-12.11

この度、私は学際科学フロンティア研究所平成28年度若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムの支援を受け、平成28年12月7日から10日の4日間、シンガポールにおいて開催された国際会議The 16th International Conference on Biomedical Engineering (ICBME 2016)に参加致しました。ICBMEは、Biomedical Engineering Society (Singapore)とDepartment of Biomedical Engineering, Faculty of Engineering, National University of Singaporeの共催で3年おきに開かれている国際会議であり、生体工学・細胞工学・医療工学などの医工学に関する最先端の研究報告が口頭発表やポスター発表によりなされます。特にアジア圏の研究者・学生の参加者が多いですが、前回は30ヶ国から約700人が参加した比較的大きな国際会議です。今回も多くの研究者が集い、56個の口頭発表のセッション(各5-6個の口頭発表)と7つの基調講演があり、毎日、昼食の時間帯にはそれぞれ数10件のポスター発表が行われました。

私は、Micro/Nano Biomedical Devices & Systemsのセッションにおいて、“Microfluidic device for investigation of cellular responses to heterogeneity of oxygen tension”という題目で口頭発表を行いました。がん微小環境は、細胞の過剰な増殖により慢性的な低酸素状態にあるとともに、未成熟な血管網の形成に起因する一過性の低酸素負荷と再酸素化が生じています。このような時間的・空間的な変化を有する低酸素環境はがんの増殖や転移を促進する一因とされていますが、その詳細については不明な点が多く残されています。そこで本研究では、生体内の低酸素環境を再現し、細胞の3次元培養と高解像度ライブ観察、細胞に対する力学的刺激および化学的刺激の厳密な制御を可能にするマイクロ流体デバイスを開発に取り組んでいます。今回の発表では、新たなマイクロ流体デバイスの流路構造、数値解析による細胞実験条件の検討、そして実際にがん細胞を培養した実験について発表を行いました。会場からは、低酸素下の細胞実験に関する質疑を受け、今後の実験に対して新たな着想を得ることができました。本研究はマサチューセッツ工科大学のRoger Kamm教授との共同研究の一環として取り組んでいるものであり、国際共同研究の研究成果を世界的に発信する絶好の機会にもなりました。さらには、医工学領域の様々な分野における最先端の研究内容を聴講することができ、大変有意義な国際会議の参加となりました。

ICBME2016への参加に際し、貴重なご支援を頂いた海外研究集会等発表支援プログラムに心から感謝致します。

  • 左:学会会場にて

  • 右:参加証明書

PAGE TOP