東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

市之瀬 敏晴(新領域創成研究部 助教)

Neurobiology of Drosophila, Cold Spring Harbor Laboratory
開催地/ニューヨーク、アメリカ

期間/2019.9.30-10.6

今回2019年度「若手研究者海外研究集会等発表支援プログラム」によって支援していただき、2019年10月1日~10月6日にニューヨーク州のCold Spring Harbor Laboratoryで開催されたNeurobiology of Drosophilaに出席し、発表を行いました。本研究集会はショウジョウバエの神経行動学分野において世界最大級の集会で、数百名の参加が見られました。また、9月30日にはボストンのHarvard大学で開催されたThe Drosophila mushroom body meetingで招待セミナーを行いました。
 
ショウジョウバエは遺伝学のモデルとして100年以上の歴史があり、高度な遺伝子改変を行うことが可能であることから、広く生物学の研究対象となっています。特に神経科学分野では、単一細胞レベルで非侵襲的な神経活動の操作が可能で、神経回路の動作原理が次々と明らかになっています。私は記憶中枢として知られるキノコ体という神経構造から出力する神経細胞群について網羅的な機能解析を行い、これらの会議で発表しました。会議では、電子顕微鏡画像から脳の神経接続を全て記述する「コネクトーム」や、遺伝子発現をゲノムワイドに明らかにする「単一細胞トランスクリプトーム」などの最新技術を扱っている研究者らとも結果の解釈について議論を行うことができました。こういった研究交流から、自分のオリジナリティとは何なのか、深く考えるきっかけとすることができました。
 
Cold Spring Harbor Laboratoryの会議は宿泊から食事、研究発表まで全ての敷地内で完結することから、濃密な交流が可能です。また、所内には大きな池や芝生が広がっており、休憩時間には散歩しながらリラックスした雰囲気で議論することができます。Keynote speakerには2017年のノーベル賞受賞者であるMichael Rosbash博士とMichael Young博士が招待され、概日リズムを司る遺伝子の発見の裏話などを聞くこともできました。Harvard大学でのセミナー後には関連する分野のラボツアーを組んでいただき、論文でしか見たことのない研究者の研究現場を目の当たりにすることができました。また、私は博士課程の研究の大半をドイツで行いましたが、そこで知り合った友人が何人も来ており、旧交を暖めることができました。
以上、本会議への参加をサポートいただいた「若手研究者海外研究集会等発表支援プログラム」のおかげで、非常に充実した一週間を過ごすことができました。心から感謝いたします。ありがとうございました。
 
 
Cold Spring Harbor Laboratoryの敷地。
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