公募研究
海外研究集会等発表支援 報告
齋藤 勇士(新領域創成研究部 助教)
74th International Astronautical Congress (IAC)
開催地/Baku, Azerbaijan
期間/2023.9.29-10.8
私は、令和5年度海外研究集会等発表支援プログラムに採択して頂き、20203年9月29日から10月8日にアゼルバイジャン・バクーで開催された74th International Astronautical Congress (IAC) に参加し、自身の研究開発成果について口頭発表を行いました。
本講演では、安全性の高いハイブリッドスタスタ着火装置を開発することを目的に、試作開発した着火システムの燃焼特性および信頼性の高い着火シーケンスについて報告いたしました。真空下である宇宙空間でスラスタ(軌道変換装置)を確実に着火するために、従来、火薬や可燃性液体などの危険性の高い着火システムが用いられてきましたが、スラスタ自身の安全性を高めても着火システムの危険性によって煩雑な安全管理が求められ、その分コストが増大しておりました。そこで、本研究では産学官共同研究によって、非爆発性/低毒燃料の触媒反応を用いた着火システムを開発し、地上および真空下での複数回の燃焼試験より、安定的な燃焼特性および信頼性の高い着火シーケンスを取得することに成功いたしました。講演ではミッション概要に加えて、着火シーケンスおよびメカニズムについて説明を行い、聴衆からも多くの興味を頂きました。特に、ハイブリッドロケット燃焼で著名なProf. Karabeyoglueからは燃焼機構に関して議論を行うことができました。また、学会期間中には2023年4月に拝命いただいたInternational Astronautical Federation (IAF)/Space Propulsion Committee(https://www.iafastro.org/about/iaf-committees/technical-committees/space-propulsion-committee.html)の活動があり、NASAやESAなどで活躍する研究者と共に将来の宇宙開発に向けた熱い議論を行うことができました。総じて、大変有意義な学会参加となり、このような貴重な機会を与えてくれた本支援プログラムに感謝いたします。また、学会参加前にはアゼルバイジャンとアルメニアの係争地での軍事衝突があり、学会終了後にはイスラエルとハマスとの軍事衝突があり、中東地域が不安定な時期での学会参加となりました。
本支援だけでなく、学会参加に向けてご支援いただきました学際科学フロンティア研究所およびメンター部局・流体科学研究所の事務の皆様に感謝いたします。

口頭発表の様子

夕暮れ時のカスピ海(写真左下)とフレイム・タワー(写真右中)