東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

冨田 沙羅 (新領域創成研究部・特任助教)

The 32nd Texas Symposium on Relativistic Astrophysics
開催地/上海、中国

期間/2023.12.10-12.16

学際科学フロンティア研究所令和5年度若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムのご支援で、私は2023年12月11日-15日に開催された「The 32nd Texas Symposium on Relativistic Astrophysics」に参加しました。この会議は1963年に第1回が行われ、その後隔年で開催され続け今年で60周年を迎える伝統的な宇宙物理学と物理学の国際会議です。テーマは素粒子物理学、相対論、宇宙論、そして高エネルギー天体物理学と幅広い分野にわたります。会議発足以来、各分野で毎年著名な研究者が募り、宇宙物理学と物理学の最新研究を共有し、さらなる発展に向けて活発な議論がなされてきました。今年は昨年観測された1000年に1度しか観測できない非常に明るい星の大爆発現象の観測結果や、重力波、電波、高エネルギーニュートリノの各観測実験の成果報告が特に注目すべき議題でした。

私はプラズマ宇宙物理セッションで、「Magnetic Field Amplification Driven by a Relativistic Shock-Clump Interaction in Collisionless Plasma Systems」というタイトルで口頭講演を行いました。まず突発的にガンマ線などで観測される爆発的天体現象の放射機構を理解するためには、爆発に伴って形成される衝撃波での磁場増幅機構を理解しなくてはいけないという背景を説明しました。そして、衝撃波での磁場増幅機構を調べた数値シミュレーションの先行研究では、現実的な天体プラズマ環境を十分に考慮できていないという問題提議をしました。私は、電磁プラズマ相互作用の第一原理計算と磁気流体近似計算の大規模数値計算機を駆使することで、現実的な天体プラズマ環境を再現し、それによって新たに分かった効率的な磁場増幅機構の条件を発表しました。発表後には複数の研究者から質問を受け、今回調べた天体環境での磁場増幅機構の話だけでなく、他天体現象への応用や数値計算手法の改善方法について議論できました。また本セッションには、宇宙プラズマ現象の観測・理論に加え今年新たに実験分野の研究者も集まり、宇宙プラズマ物理の発展について多角的な視点を持った研究者と議論できました。本支援プログラムに採択頂いたことで、貴重な経験を積むことができました。感謝申し上げます。
 
 
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