公募研究
海外研究集会等発表支援 報告
宋 雨鑫 助教
2025年マルテンサイト変態国際会議 (ICOMAT 2025),プラハ・チェコ
2025.9.3-9.13
若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムのご支援をいただき、チェコ・プラハで開催された International Conference on Martensitic Transformations 2025 (ICOMAT 2025) に参加いたしました。本国際会議は3年または4年に1度開催されるマルテンサイト変態に関する主要な国際会議であり、1976年に神戸で開催された第1回会議以来、日本とも深いつながりをもつ歴史ある学術集会です。会議では、マルテンサイト変態の基礎理論、相変態と塑性変形の相互作用、金属3Dプリンタ造形、デバイス応用に至るまで、幅広い分野の研究発表が行われました。
私は「Elastocaloric effect covering wide temperature range in a Ti-Al-Cr shape memory alloy」という題目で口頭発表を行いました。本研究では、Ti基合金にAlを添加して母相の原子配列を規則化し、さらにマルテンサイト変態を誘起するためにCrを添加するという独自の合金設計指針を示しました。これにより、チタン系合金として初めて母相格子の規則化とマルテンサイト変態を確認し、超弾性特性を示す新規Ti-Al基形状記憶合金を見出しました。本合金は、実用合金であるNi-Tiに匹敵する7%以上の超弾性ひずみを示し、従来のTi基合金の性能を大きく上回るものでした。また、軽量である点に加え、超弾性を示す温度範囲がNi-Tiの約5倍と広く、極低温環境下での応用可能性も示唆されました。
会期中は、形状記憶・超弾性材料の分野で活躍されている研究者と活発な議論を行い、新規Ti-Al基超弾性合金の応用展開に向けて貴重な助言を得ることができました。また、修士課程時代の恩師である掛下先生とも久しぶりに再会することができ、最新の研究動向や今後の研究の方向性について議論できたことは大変有意義でした。
本会議参加を通じて得られた知見と交流は、今後の研究推進に大きく寄与するものと確信しております。本プログラムによるご支援に心より御礼申し上げます。
会場にて、修士課程時代の恩師である掛下先生と撮影
プラハ中心の景色