東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

櫻井 美奈子(大学院医学系研究科・博士3年)

ENDO201
開催地/アメリカ・サンディエゴ

期間/2015.3.2-3.11

この度、米国のSan Diengoにて開催されたENDO2015に参加し、「脂肪関連因子が及ぼす乳癌組織への影響とそのメカニズム」に関する研究成果をまとめた口頭発表を行ってきました。世界最大規模の内分泌学術総会である本学会では、世界各地より8500人を超える専門家らが集結するため、他国の研究者らとの交流を通して最先端の知見を学ぶことが出来ました。

本研究では乳房組織全体の構成の不可欠な役割を担っている脂肪組織について着目し、癌細胞との相互作用にどう関連しているのか明確にするために機能解析を行いました。特にLipocalinと呼ばれる近年Adipokineの一つであることが認められたタンパクが、脂肪細胞と共培養を行った乳癌細胞において発現上昇することから、癌微小環境において重要な役割を担っている可能性を示すことを報告致しました。“Metastasis and Tumor Progression”というセッションにおいて発表を行った本研究内容は、若手研究者を対象としたOutstanding Abstract Awardに選出されました(写真)。

癌微小環境が及ぼす癌細胞への影響は、近年着目されつつありますが、脂肪細胞との相互作用に関しては未だ不明瞭な点が多く残されているため、肥満率が高い米国の研究者からの関心は日本と比べて高かったと感じました。質疑応答では本研究で抽出されたアレイデータの詳細から、実験法に関する意見などを多数頂き、今後の課題となる問題提起まであらゆる角度から討議を行うことができました。

本学会は内分泌をメインテーマにしているため、正常疾患と癌の研究が混合しており、肥満や糖尿病、神経内分泌腫瘍からホルモン依存性癌に関する研究発表が多い印象でした。また、臨床と基礎研究のバランスが非常によくとれており、トランスレーショナルリサーチの実現を目指して脂肪と癌の研究を行っている私にとっては最適な学会であり、より複合的な視野から自身の研究内容を見つめ直すことが出来たと感じました。更に、ENDO early career forumやWorkshopなどが充実しており、次世代の研究者や若手研究者の育成にも力を入れている様子が伝わってきました。今回の学会参加を通して、学術誌編集長などあらゆる世代の専門家との交流を通して人的ネットワークが更に強化されたと感じます。このような貴重な機会を与えて頂いた学際科学フロンティア研究所若手研究者国際化支援海外研究集会等発表支援プログラムに心より深く感謝を申し上げます。

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