新領域創成研究部
研究分野 | 複雑系、ネットワーク科学 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本進化学会、日本動物学会、日本土壌動物学会、Deep-sea biology Society |
研究概要 | |
ホタルのように自ら光る生物を発光生物といいます。世界にはクラゲや魚類など7000種以上の多様な発光生物が知られていますが、それらがどのような物質を使い、何のために光るのか。また、その光り方やその制御、進化の起源や過程については、一部の種を除きほとんどわかっていません。私は、森に棲むホタルや土の中のトビムシ、磯のゴカイ、深海のサンゴなど、様々な場所で生息する発光生物を研究しています。そして、新しい発光生物を見つけ出し、未知の発光の仕組みを解明し、その進化の謎を解明するために研究しています。これらの好奇心に駆動される基礎研究は、地球の歴史を紐解き、複雑な生態系の成り立ちを理解し、環境保全に重要な要素を明らかにすることで政策決定への材料としても還元されます。また、時に思いがけず重要な発見にもつながります。 発光魚キンメモドキは、盗タンパク質を持つことが見つかった世界で唯一の例です。本種は発光反応に必要な遺伝子を持たず、発光生物を食べることで、発光反応に必要なタンパク質を「消化せずに取り込み利用」します。本来、消化・分解されてしまうエサ由来のタンパク質がどのような仕組みで取り込まれ保持・利用されるのかを明らかにすることで、生物がどのように発光のような新しい能力を獲得するのかを理解できます。また、その仕組みを応用することが可能になれば、経口投与でも機能的なタンパク質を標的の部位に運ぶ技術(たとえばドラッグデリバリーなど)の開発にもつながるかもしれません。 |