東北大学
学際科学フロンティア研究所

新領域創成研究部

柿沼 薫KAKINUMA Kaoru

准教授人間・社会

研究分野 環境人口動態学・気候変動影響評価
主な研究テーマ
  • 環境変動下の人口移動予測モデル開発
  • 気候変動の社会的影響評価(格差・公衆衛生・高齢化)
  • 社会―生態システムの持続可能性・レジリエンス評価
所属学会 国際人口学会、水文水資源学会、日本生態学会
研究概要  

気候変動に伴い洪水、干ばつ、熱波などの極端現象の増加が懸念され、社会への影響評価が国際的課題となっています。同時に、各地域では人口構成も刻々と変化しており、アフリカでは若年人口が急増する一方、日本や欧州では急速な高齢化が進んでいます。こうした環境変動と人口変動の重なりが、複雑な影響を生みます。

このため、私は人口を均質なものとして扱うのではなく、年齢・性別・社会経済性が環境ストレスへの脆弱性をどのように左右するかを研究しています。全球データセットと詳細な地域データを活用した時空間解析により、アフリカでは小規模な洪水でも大規模な人口移動が発生すること、水不足が女性や子どもに偏って負担を与えること、人口高齢化と気温上昇が重なる地域で熱中症死亡リスクが高まることを明らかにしました。モンゴルでは、極端な雪害後に遊牧民間の経済格差が数年間拡大し続ける実態を実証しました。

これらの知見を基に、気候変動に伴う人口移動モデルを開発し、誰が・どこで・どのような条件下で最もリスクにさらされるかの特定に取り組んでいます。環境学と人口学を架橋することで、気候リスクの不平等な時空間的分布に明らかにし、効果的な適応策の実現に貢献することを目指しています。

 

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