受賞
2024.04.09
学際科学フロンティア研究所新領域創成研究部の郭媛元准教授と木村成生助教が、『令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞』を受賞することが決定しました。
本賞
研究分野 | 天体物理、宇宙線物理 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本物理学会、日本天文学会 |
研究概要 | |
我々の住む宇宙は「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの荷電粒子で満たされています。高エネルギー宇宙線の速度は光速の99.9999999999%にも達します。そのような粒子の起源天体と生成機構はまだわかっていません。高エネルギー宇宙線はブラックホールの周囲など極限状態にあるプラズマで生成されたと考えられており、宇宙線の起源天体や生成機構の解明は極限状態の物理現象の探究に繋がります。 荷電粒子である宇宙線は星間磁場によって曲げられてしまうため、宇宙線の観測からその起源天体を同定することは困難です。宇宙線は周囲の粒子と相互作用することで、電荷を持たない素粒子であるニュートリノを放射します。ニュートリノは曲がることなく地球へと到達するため、ニュートリノ信号を用いることで宇宙線起源天体を同定することが可能となります。この手法は、伝統的な天体観測手法である電磁波信号に加えてニュートリノ信号を用いるため、「マルチメッセンジャー天文学」と呼ばれます。 私は、さまざまな宇宙線起源候補天体に対し、宇宙線が放射するニュートリノ信号と電磁波信号を理論的に予言し、観測データと比較することで宇宙線起源天体を探索しています。また、ブラックホール周囲などで実現する極限状態のプラズマ中での宇宙線生成過程を、数値シミュレーションを用いて研究しています。極限プラズマにおける宇宙線生成数値シミュレーションと、天体から放射される粒子信号・電磁波信号の理論予言とを用いて理論モデルを精密化し、近い将来に得られる豊富な観測データと照らし合わせ、謎に満ちた宇宙からの高エネルギー粒子の起源と生成機構を明らかにしたいと考えています。
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