会議発表・論文・出版
2023.09.28
「親子で性格が似ている」「親も子もうつ病になった」など、考え方の特徴や精神的な不調が、まるで連鎖するように親子で共通して見られることがあります。また、親が幼少期に虐待などの辛い体験をした場合、その影
研究分野 | 脳科学、発達心理学、生物学的精神医学 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本神経科学学会、日本生物学的精神医学会 |
研究概要 | |
ヒトに備わった精神的な機能のうち、時間や状況を問わずある程度安定した特徴は心理特性と呼ばれます。誠実性、共感性など、“パーソナリティ”や“非認知能力”と表現される概念がこれに当たります。心理特性は、遺伝子と生育環境の交互作用が脳の発達に影響することで形成されていくと考えられますが、その複雑な機序は未だ完全には解明されていません。 心理特性の形成に関するこれまでの研究では、個々人の遺伝子多型や生育環境情報と当人の脳や心理特性の関係性が検討されてきました。しかし、言うまでもなく遺伝子は親から受け継がれるものであり、生育環境の構築には養育者が深く関与しています。養育者自身の人生経験が、子どもの生育環境の構築に反映されていることもあるでしょう。心理特性の形成基盤の解明には、親の遺伝子、親の人生経験、親の心理特性が子どもに与える影響をつぶさに検証する必要があると考えられます。 私は現在、血縁の父・母・子から成る生物学的親子トリオを対象として、遺伝子・脳画像・生育環境情報・心理特性、等のデータを収集しています。親が子どもだった頃の経験は、現在の子どもの脳や心理特性とどのように関わっているのか?親と子で性格が似ていたり、同じ精神疾患を発症しやすいことの神経科学的基盤は何なのか?親と子は脳の機能や構造が似ると言われているが、それはヒトの発達においてどのような意義を持つのか?…といったあらゆる疑問を追究し、「あるヒト」を「その人」たらしめる心理的な性質(個性)の形成機序を明らかにしていきたいと考えています。 |