受賞
2022.09.13
新領域創成研究部の山田將樹助教が、第17回(2022年度)素粒子メダル奨励賞を受賞しました。
本賞は、素粒子論を志す若手研究者の優れた研究を評価し奨励することを目的として、
研究分野 | 宇宙論、素粒子物理学、重力理論 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本物理学会 |
研究概要 | |
アインシュタインの一般相対性理論は時空間がどのように発展するかを教えてくれます。それを私たちの住んでいる宇宙に使うと、宇宙が138億年前に生まれて現在まで膨張し続けている、ということがわかります。この始まりの約1秒後から138億年後の現在までの間には、水素やヘリウムなどの軽元素の合成から銀河や星などの複雑な構造の形成など、私たちに比較的馴染みのある現象が起きていました。そしてこれらがいつどのように起きたのかはおおよそわかっています。 一方で、宇宙が生まれてからたった1秒の間には、インフレーションとよばれる宇宙の急激な膨張が起こり、そのエネルギーが熱エネルギーに変換され、我々を構成する通常の物質や未知の暗黒物質(ダークマター)の生成が起きたと考えられています。しかしこれらがいつどのように起きたのか、というのは未だにわかっていません。私は物理学の原点である素粒子理論と相対性理論を用いてこれらの現象を理解し、このたった一秒間の間に何が起きたのかを明らかにするための研究を行っています。 しかし複雑な現象に対して原理的な計算を行うには限界があり、原子核理論やプラズマ物理学、さらには物性物理学や天文学で培われてきた理論を応用することもあります。また、時には生命が生まれる条件を考えることもあり、時空それ自体の創生を考えるときには哲学的な問いが生まれることもあります。学際研ではこれらの知識を持った専門家たちと協力し、この宇宙の起源を明らかにしていきます。 |