会議発表・論文・出版
2022.11.30
2022年7月まで本研究所新領域創成研究部に在籍した阿里木 托和提(アリム トヘティ)助教(現、東北アジア研究センター特任助教)は、在籍中の研究成果として書籍「イスラームと儒学—「回儒学
研究分野 | 思想史、宗教学、比較文化論、地域研究 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本宗教学会、日本思想史学会、東北中国学会 |
研究概要 | |
筆者の関心は、アジア文化圏におけるイスラームと儒学思想間の関係及び比較的研究にある。特に、イスラーム「回儒学」と江戸時代の「古学」とにおける「理学」の受容・批判・変容を検討しその思想的特徴の把握に興味を持っている。本研究の独創的な点は、現在まで日中両学界でほとんど注目されてこなかった「回儒」の思想的定位を探索し、丹念に分析を加えるにある。つまり、申請者の研究視座は、アジア文化圏に於ける儒学間の相互関係に留まらず、イスラーム思想・文化の東アジア文化圏での展開にも及ぶユニークなものであり、またそれが単に二次資料に基づく表層的なものではなく、それぞれの思想潮流を代表する学者や思想家の著述の分析を通して実証的に裏づけされる厳密な研究手法をとる点でも意義深い研究であると考える。 現実的角度から、様々な文明圏との対話・理解の促進に努める上で、イスラームの対話・理解の重要性に留意している。東アジアの日本・中国等国におけるイスラームへの理解の深化とともにイスラーム諸国における日本・中国への理解促進をも図り、イスラーム文明圏との対話の裾野を広げるよう努めていきたい。複数の異なる文化がどのような形でよりよく共生し、また新たな文化を生み出すことができるのかという点にあり、さらにその研究は、日本と中国関係の研究に及んでいる。こうした問題意識は、イスラーム諸国と東アジアとの間に建設的な対話や相互理解につながるものと確信するものである。 |