過去の在籍教員
研究分野 | 細胞生理学、ライブイメージング |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 米国糖尿病学会・米国細胞生物学会・日本糖尿病学会 |
研究概要 | |
細胞内における分子の動きは、あらゆる細胞機能の発現を司る決定因子の一つです。したがって、細胞機能を理解するためには、細胞内部で起こる分子の動きを可視化して正確に計測して定量化できる手法が求められます。近年のライブイメージング技術の発展により生きた細胞内で起こる分子集団の動きの可視化は比較的容易に行えるようになってきましたが、その一方でそれを正確に検出し定量化することはしばしば困難を極めます。この理由として、広く用いられる可視化法では多数の分子集団で構成される平均的挙動を観察していることが挙げられます。 そこで私たちは最近、リサイクリングタンパク質の細胞内における一分子挙動を高精度にナノ計測し、それを総体的に解析した分子動態によって細胞機能とその障害とをシステムとして理解できる独自の計測系を確立しました。そしてこの計測を通じ、1) 細胞内における分子動態には、その時点で細胞が置かれた環境に適応した秩序構造が存在すること、2) 細胞応答は刺激等に伴う分子動態の遷移によって示されること、3) 分子動態の秩序的な構築や遷移の撹乱は疾患と直結すること、を示唆する知見を得てきました。私は、この独自の技術をさらに発展させ、先進的光学計測技術を駆使しながら生理的・病態生理的に重要な分子群の動態計測を行うことによって、遺伝子発現や修飾等の「量の変動」によって理解されてきた従来の細胞生物学とは異なる「動態の変動」に基づいて生命機能を理解する新たな学問体系の構築を目指します。この過程において、情報処理・材料工学等の学問領域との学際研究を進めていきたいと考えています。 |