過去の在籍教員
在職期間:2014.4-2018.3
井上 壮志Takeshi Inoue
助教先端基礎科学
- メンター教員(当時)
- 准教授
- 伊藤 正俊(サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター)
研究分野 | 原子核物理、原子物理 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本物理学会 |
研究概要 | |
磁場、及び磁場変動を感度よく測定する技術は基礎物理分野だけでなく、医学分野でも注目されています。基礎物理分野では磁場変動は物質を構成している基本粒子の内部自由度であるスピンの変移が要因の一つとなっており、その精密測定はスピンに付随する物理量のより深い理解に繋がります。例えば、素粒子物理学の基礎となる標準模型を超える物理現象の発見に適した、素粒子の電気双極子モーメントを探索する際には、磁場変動を感度良く測定する必要があります。一方、医学分野に目を向けますと脳の電気的な活動により生じる極わずかな磁場、及び磁場変動を測定し、脳の機能障害等に関する知見を得る脳磁計に代表される生体磁気測定装置が活躍しています。現在、脳磁計に用いられている磁気センサーは超伝導量子干渉計(SQUID)です。SQUIDは超低領域の磁場、及び磁場変動が検出可能な磁気センサーですが、超伝導状態を利用した計測機構であるため、システムの維持・運転のコストが膨大になります。このように、磁場とその変動を高感度に検出可能な低コスト磁気センサーは基礎物理から医学まで幅広い応用が期待されます。 SQUIDに代わる磁気センサーとして、原子スピンとコヒーレント光の相互作用に基づいた新たな現象・非線形磁気光学回転(NMOR)現象を用いた光学磁気センサーが注目されています。このNMOR型光学磁力センサーは 1) SQUIDより1桁上の磁場、及び磁場変動が検出可能、2)室温で動作が可能、3)多数の磁気センサーを1台のレーザーで動作が可能, 4)対象となる原子をガラスに封入することでセンサーの小型化が可能という特徴があります。このような特徴を持つNMOR型磁気センサーをルビジウム原子を対象に開発し、基礎物理から医学にまたがる研究を展開していきたいと考えています。更には、センサーの対象としてレーザー冷却・捕獲された原子を用いることで更なる高感度な磁気センサーの開発にも取り組んでいきたいと考えています。 |