東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2019.4-2020.7

井上 悠Hisashi Inoue

助教先端基礎科学

メンター教員(当時)
教授
塚崎 敦(金属材料研究所)
研究分野 物性物理、超伝導、量子情報工学
主な研究テーマ
  • トポロジカル物質の物性とデバイス応用
  • マヨラナ粒子を用いた量子情報処理技術
所属学会 日本物理学会、応用物理学会、米国物理学会
研究概要  

情報処理技術は、インターネットの発達等、私達の生活に変革をもたらしました。その発展には、情報処理を担う素子の高速化が大きな役割を果たしてきました。今後、人工知能等の新たな技術により、私達の生活は更に便利になっていくと考えられますが、その有効活用のためには、より高速かつ大規模な情報処理技術が求められます。現行の素子は、電気を流さない絶縁体、電気を流す金属、その中間の性質を持つ半導体によって構成されます。微細化の限界や発熱の問題等から、これらの構成要素のみによって素子を高速化することは限界を迎えつつあります。

私はこれまで、絶縁体にも金属にも分類できないトポロジカル絶縁体という物質の研究をMITで行ってきました。トポロジカル絶縁体内部は電気を流さないにも関わらず、その表面では、電気伝導を担う電子と、電子が持つ磁気的性質であるスピンが密接に相関した金属的状態が現れます。この性質を素子に応用することで、新たな機能を有する素子の実現が期待できます。

トポロジカル絶縁体の名前は、もともと位相幾何学(トポロジー)という数学的概念が由来です。この概念を物質科学に適用することで、トポロジカル絶縁体をはじめ、多くの物質が興味深い物性を持つ事が明らかになってきました。例えば、トポロジカル絶縁体と、ゼロの電気抵抗を持つ超伝導体を接合すると、物質中に「マヨラナ粒子」と呼ばれる粒子が現れ、この粒子を巧みに操作することで、エラーが起こりにくい量子情報処理が実現できると考えられています。私は、実験的手法によって、このような現象を明らかにすると共に、素子への応用を目指します。

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