過去の在籍教員
研究分野 | 微生物・植物の生化学 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本農芸化学会、日本細菌学会、日本植物学会 |
研究概要 | |
外環境と細胞内を隔てる境界面である細胞表層は、様々な物質の流入出を制御したり、細胞形態の維持に必要な物理的強度を与えることで、細胞の生存・生育に必須の役割を果たします。また、外環境の変化を感知する反応の多くは表層膜を介して起こり、様々な細胞応答の起点となります。細胞表層を解析することで、細胞の生存戦略として外環境にどう対応してきたか、その合理性や個性が見えてきます。私はこれまで、原核生物・グラム陰性細菌表層の機能と構造的安定性に関する研究を行ってきました。グラム陰性細菌は細胞質膜と細胞壁のさらに外側に外膜を有しています。博士課程在籍時には外膜の安定的維持に必要な、外膜-細胞壁ペプチドグリカン間の接着メカニズムについて研究を行いました (Kojima et al., 2010, 2011) 。卒業後は博士研究員として渡米し、外膜の機能をより定量的に理解することを目指して外膜を介した物質の流入出速度の測定に取り組みました (Kojima & Nikaido, 2013, 2014) 。外膜の透過性は、細胞内への物質の出入りの速度を規定するので、細胞の生存・生育や外環境への応答に直接的かつ定量的に関連します。現在は、グラム陰性細菌の外膜機能解析技術を応用して、葉緑体の外膜に関する研究も行っています。外膜の機能、安定性、及び細胞の生存や細胞応答の関連性を分子レベルで定量的・包括的に理解する研究を進めています。具体的には、①グラム陰性細菌の薬剤耐性メカニズム、②原始的葉緑体の外膜の基本機能とその分子機構、③ルーメン(反芻動物第一胃)細菌の外膜構造と機能、を研究課題として取り組んでいます。 (詳細: http://www.ige.tohoku.ac.jp/tekio/wordpress/wp-content/themes/lsab_wp/img/Kojima_HP/kojima.html) 【参考文献】 Kojima S, et al. (2010) J Bacteriol 192(22): 5953-5961 Kojima S, et al. (2011) J Bacteriol 193(9):2347-2350 Kojima S, Nikaido H (2013) Proc Natl Acad Sci U S A 110(28): E2629-E2634 Kojima S, Nikaido H (2014) J Biol Chem 289(38): 26464-2647 Kojima et al. (2016) J. Biol. Chem. 291:20198-20209. |