東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2020.2-2022.9

楠山 譲二Joji Kusuyama

助教生命・環境

メンター教員(当時)
教授
永富 良一(大学院医工学研究科)
研究分野 内分泌代謝学、運動生理学、エピジェネティクス、歯科医学
主な研究テーマ
  • 妊娠期運動による疾病予防効果の次世代伝播機構
  • 先天性疾患に対する予防的環境介入
  • 胎盤機能を制御するバイオマーカー探索と定量化
所属学会 日本分子生物学会、American Diabetes Association、歯科基礎医学会
研究概要  

私の研究テーマは、次世代の子や孫の疾病を先行的に予防することの実現です。

多くの病気は遺伝的素因と環境因子の組合せによって引き起こされ、個人の生活習慣はその発症に大きく関与します。ところが近年、親の生活習慣は自身の健康に害悪を及ぼすだけでなく、胎児臓器に影響を与えることで、子に対して将来の生活習慣病リスクを伝播させることが分かってきました。つまり生活習慣病を制圧するには、この世代間連鎖を断ち切ることが必須です。

私はこれまでの研究で、肥満・糖尿病の現世代から次世代に跨る悪循環を防ぐ「先制医療」として、母親の妊娠期の運動が有望な方法であることを明らかにしました。更にそのメカニズムとして、胎盤から分泌されるタンパク質群が妊娠期運動効果の子への情報伝達因子であることを同定しました。現在、運動効果を引き出すための栄養素、妊娠期運動-胎盤シグナルに関わる母体側臓器、仲介物質、生理学的パラメータの解明によって、運動が母体と胎盤に与える影響の包括的理解を推進しています。

私は一連の研究から、胎盤は母親から胎児へ栄養・酸素の供給器官だけでなく、母親の得た様々な情報を子に伝えるトランスデューサーであると考えています。そこで学際科学フロンティア研究所では分子遺伝学、情報学、デバイス、心理学などを組合せ、胎盤機能を制御・活用し、次世代の生活習慣病や先天性疾患に対し予防的に介入することを目指します。最先端技術と実践的な洞察をもとに、専門性の高いベンチサイドからの成果を毎日のたゆまぬ営みであるライフサイドへ届けたいと思います。

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