会議発表・論文・出版
2016.08.09
高橋 佑磨 助教(新領域創成研究部・現 千葉大助教)
『Molecular Ecology』に論文掲載、および報道発表
プレスリリース/2016年8月9日
研究分野 | 進化生態学 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本生態学会・日本進化学会・個体群生態学会・日本動物行動学会・種生物学会・日本サイエンスビジュアリゼーション研究会 |
研究概要 | |
進化学は選択(自然選択や性選択)や確率的浮動というプロセスにより、形質の進化の機構を明らかにすることを第一の目的としてきた学問である。一方、生態学は、生物と環境、あるいは生物同士の相互作用をもとに生物の人口学的動態を明らかにすることを本懐としてきた。結果として、個体よりも高次のレベルの生物学的動態を扱うマクロ生物学という分野の中で、進化学と生態学は独立に発展してきたという経緯がある。しかし、現実には、選択や確率的浮動により集団のメンバーの平均的な形質が変化すれば、その生物種の集団動態や種間相互作用といった生物の人口学的動態が改変される可能性がある。例えば、自然選択によってより多くの子孫を残す形質が選択されれば集団の増加率が増加するだろうし、過度な性選択形質や利己性の進化は集団の増殖率を低下させると考えられるのである。さらには、集団の存続可能性の増減は、系統選択というプロセスを通じて群集構造や生態系機能、大進化パターンにも影響するはずである。しかしながら、人口学的動態に対する「進化の副産物的効果」は、理論的・数学的簡便化のために見過ごされてきたと言わざるをえない。私は、集団内の多様性の進化に着目し、進化の副産物という視点から進化学と生態学の橋渡しを行なうことで、生物の時空間的な動態やより高次の生命現象の理解するための新たな理論を構築することを目指して研究を進めている。 |