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研究分野 | 無機材料物性学、薄膜プロセス工学、磁性薄膜 |
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主な研究テーマ |
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所属学会 | 日本金属学会、日本セラミックス協会 |
研究概要 | |
社会の急速な発展や多様化に伴い、近年、新しい多機能デバイスの開発が求められています。複合機能性材料は、全く異なる2つ以上の物質や特性(磁気的、電気的、熱的、化学的、生物的、そして機械的性質など)の組み合わせにより、個々の構成物質とは全く異なる新奇な機能性を発現させることができます。すなわち、学際的分野、異分野への新しい機能やコンセプトを提供する新規多機能デバイスの開発が期待できます。 私は新規複合機能性材料の開発を、『ナノ複相薄膜』を作製することにより実現してきました。ナノ複相薄膜とは、セラミックス母相中に金属ナノ粒子が分散した構造を有する薄膜です。ナノ粒径、粒子間距離、構成元素、界面構造などを精密に制御することにより、セラミックス母相を介した金属ナノ粒子間の量子効果により通常の特性とは異なる機能を発現することが期待出来ます。私がこれまで新しく開発してきたナノ複相薄膜の例として、Co-TiN系ナノ複相薄膜およびCoPd-SrTiO3系ナノ複相薄膜の作製などがあります。このCo-TiN系ナノ複相膜は、透磁率の磁気共鳴周波数が数GHzに達する優れた高周波軟磁気特性を発現し、大きな電磁波ノイズ抑制効果を示すことを見いだしました。市販のフェライト系電磁波遮蔽材料に比べて約200倍(同じ膜厚の時)特性向上に成功しました。今後急速に高周波化していく携帯デバイスや医療器具のノイズ遮蔽などへの応用にも期待できます。 これまでの研究における更なる特性向上を目指します。さらに高い磁気特性と誘電特性を兼ね備えた軟磁性ナノ複相薄膜の作製に関する研究、を進めるとともに、新規開拓テーマとして、異なるセラミックス母相とナノ金属との組み合わせにより、耐摩耗性、耐食性および生体親和性を兼ね備えたトンネル型磁気抵抗効果ナノ複相薄膜の作製に関する研究を行い、バイオ分野、医療分野、機械分野など学際領域分野への展開に挑戦していきたいと思います。この研究を推進させるために、異分野の研究者との融合研究を積極的に進めていきたいと思っております。 |