東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

佐野 陽祐(国際高等研究教育院・大学院理学研究科博士3年)

The 11th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry (PPC-11)
開催地/インド・ゴア

期間/2015.1.17-24

このたび、学際科学フロンティア研究所若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに採択を頂き、2014年11月9~14日にインドのゴアで開催されたThe 11th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry (PPC-11)に参加しました。当該会議は、陽電子とポジトロニウム(Ps)科学分野における世界最大級の国際会議のひとつであり、世界各国から100人以上の参加があり74件の口頭発表と40件のポスター発表がありました。本学会ではFundamentalというセッションにおいて“Kinetic energy of Ps formed by Ore mechanism in Ar gas”というタイトルで口頭発表をしました。

ポジトロニウム(Ps)とは陽電子と電子からなる最も単純な束縛系で、気相中において量子電磁力学の検証実験から、Psとの原子衝突やエキゾチック原子・分子まで、基礎物理学や化学の分野での研究対象となっています。これらの測定は、気相中で生成したPsの熱化時間や拡散距離の影響を受けるため、低エネルギー領域における衝突断面積を精密に知る必要があります。しかし、Ps生成直後の数 eVのエネルギー領域は研究例が殆どありません。本研究は、希ガス中でのPsの生成メカニズムとその初期エネルギーに着目して、これまで測定が困難であったPs生成直後のエネルギー領域におけるPsの減速を直接観測し、Psと希ガスの衝突断面積を求めました。本研究で求めた断面積は、Psの気相中での減速時間や拡散距離を見積もる際に重要な物理量となります。

今回私は、生まれて初めて日本の外に出ました。もちろん海外で開催された国際学会での口頭発表は初めてで、自身のキャリアの中でも忘れがたい経験となりました。このような機会を与えて頂いた学際科学フロンティア研究所若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに感謝致します。

  • 左:口頭発表後の質疑応答の様子。

  • 右:excursionで訪れたボン・ジェズ教会からの帰り道。

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