トピックス
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受賞2016.10.12
兒島 征司 助教(新領域創生研究部) 「日本農芸化学会東北支部奨励賞」を受賞 受賞日/2016年10月9日 新領域創成研究部の児島征司助教が、「日本農芸化学会東北支部奨励賞」を受賞しました。この賞は、日本農芸化学会会員で、主たる研究の場が東北支部内の満45歳以下の研究者で顕著な業績をあげたものに与えられます。受賞対象の研究題目は「グラム陰性細菌及び原始的葉緑体の外膜の基本性質とその構造的安定性に関する研究」です。 授賞式は10月9日に山形大学農学部(鶴岡)で行われました。
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会議発表・論文・出版2016.10.12
兒島 征司 助教(新領域創生研究部) 『Journal of Bacteriology』に論文掲載 掲載日/2016年9月19日 多様な薬剤に対して耐性を示す多剤耐性の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の存在は現代の医療現場における深刻な問題となりつつあります。本菌の多剤耐性化機構の特徴として、多くの場合、本菌に対する薬剤流入経路として重要な外膜チャネル(ポリン)の欠失を伴うことが知られていましたが、その理由はよくわかっていませんでした。児島助教は、カリフォルニア大学バークレー校のH. Nikaido 教授の研究に従事し、ベータラクタム系抗生物質等の薬剤に対する本菌のポリン透過性を解析しました。その結果、本菌のポリンは様々な薬剤に対して高い透過性を持っていることがわかりました。従って、本菌においては、このような高透過性ポリンが存在するときと欠失したときで菌体に対する薬剤流入量が大きく変化することがわかりました。本結果から、多剤耐性菌におけるポリンの欠失現象は、薬剤流入経路の遮断により細胞の薬剤耐性度が上がるという、生理的意義を伴っていることが初めて明らかになりました。本成果は、肺炎桿菌の多剤耐性化機構の理解に貢献するとともに、グラム陰性細菌の多剤耐性問題解決に向けた研究の一助となります。 本成果は米国微生物学会が発行する学術誌 Journal of Bacteriology に9月19日付で掲載されました。 掲載論文: Etsuko Sugawara, Seiji Kojima and Hiroshi Nikaido, "Klebsiella pneumoniae major porins OmpK35 and OmpK36 allow more efficient diffusion of β-lactams than their Escherichia coli homologs OmpF and OmpC", Journal of Bacteriology, 2016, doi: 10.1128/JB.00590-16
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会議発表・論文・出版2016.10.05
下西 隆 助教(新領域創成研究部) 『The Astrophysical Journal』に論文掲載、 および報道発表 プレスリリース/2016年9月5日 新領域創成研究部の下西 隆助教は、東京大学、国立天文台、筑波大学の研究者と共同で、アルマ望遠鏡を用いた観測により、世界で初めて、私たちの住む天の川銀河以外の銀河に、生まれたばかりの星を包むホットコアと呼ばれる分子の雲を発見しました。また、発見した銀河系外ホットコアのデータを詳細に解析した結果、天体に付随する分子ガスの化学組成が、天の川銀河内の同種の天体のものと比べて、大きく異なることを明らかにしました。この結果は、生まれたばかりの星を包む物質の化学的性質が、それらを取り巻く銀河の個性に強い影響を受けることを示しています。 今回の銀河系外ホットコアの初検出は、星や惑星の材料となる物質の化学的性質の研究に新たな可能性を示す重要な第一歩として、大きな注目を集めています。 この研究成果は、2016年8月9日発行の天文学論文誌「アストロフィジカル・ジャーナル」827号に掲載されました。 論文情報: Takashi Shimonishi, Takashi Onaka, Akiko Kawamura, and Yuri Aikawa, "The detection of a hot molecular core in the Large Magellanic Cloud with ALMA", The Astrophysical Journal, Volume 827, 72, 2016 プレスリリース: 東北大学 詳細な説明: 銀河系外ホットコアを初検出! ー生まれたばかりの星を包む暖かい分子の雲ー (東北大学理学研究科・理学部) この研究成果が、国際プレスリリースされました。 (国際プレスリリース/2016年10月5日) EurekAlert! 東北大学 東北大学理学研究科・理学部 AlphaGalileo 米国立電波天文台 欧州南天天文台 アルマ望遠鏡
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会議発表・論文・出版2016.09.29
増本 博 教授 『Scientific Reports』に論文掲載、および報道発表 プレスリリース/2016年9月29日 先端学際基幹研究部の増本博教授は、公益財団法人電磁材料研究所の小林伸聖主席研究員、本学金属材料研究所の高橋三郎助教、および国立研究開発法人日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターの前川禎通センター長との共同研究において、全く新しい発想による透明強磁性体の開発に世界で初めて成功しました。開発した材料は、ナノグラニュラー材料と呼ばれる、ナノメートルサイズの磁性金属粒子を誘電相中に分散させた金属と絶縁体(誘電体)の2相からなる薄膜材料であり、室温で大きな光透過率と強磁性を示し、かつ、透明度が磁場で制御可能な新しい磁気-光学効果を示すことを見いだしました。 透明な磁性体の開発は、磁性材料研究において重要なテーマの一つです。室温で透明な強磁性体が実現すれば、磁気・電子および光学デバイスのみならず、様々な産業分野に多くの革新的な技術発展をもたらすことが期待できます。これまでに、磁性半導体や磁性酸化物において透明な磁性体の検討がされてきましたが、室温では磁化が小さく、また十分な透明性が得られないなど、透明な強磁性体は実現されていませんでした。今回、増本教授らの研究グループは、ナノメートル(1/1000000ミリメートル)の微細複合構造を持つナノグラニュラー磁性体の研究開発を進め、可視光領域において高い光透過性を持ち、かつ強磁性併せ持つ薄膜材料の開発に成功しました。この材料は、粒径が数ナノメートルの鉄-コバルト合金微粒子(グラニュール)が、フッ化アルミニウムの媒質(マトリックス)中に分散した構造を有します。この構造により、鉄-コバルト合金による強磁性とフッ化アルミニウムによる光透過性の両方の特性を同時に発揮することができます。さらに、この材料の光透過率は磁場の大きさを変化させることによって制御できることも見出しました。これは、過去に報告の無い新しい磁気-光学効果であり、鉄-コバルト合金の強磁性グラニュール間の量子力学的トンネル効果によるスピン依存電荷振動に基づく『トンネル磁気誘電効果』によって説明されます。 この新しい材料は、世界で初めて実現した室温で透明な強磁性体であって、かつ、透明度が磁場により自己調整できる機能を持ちます。今後の開発の進展によって、例えば、速度、燃料計や地図を自動車や航空機のフロントガラス上に直接表示するデバイスなど、次世代透明磁気デバイスや電子機器の実現が可能となります。 なお、本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィック レポート)」(9月28日付)に掲載されました。 図 (a) 660℃に加熱したガラス基板(コーニング社製イーグル2000)上に作製したFe9Co5Al19F67ナノグラニュラー膜(1μm)の写真。膜は透明で、後ろの赤、青、黄色の文字をくっきりと見ることができます。 (b) Fe13Co10Al22F55ナノグラニュラー膜の光透過率の変化(波長:1500nm)。丸印は実験値で実線は理論値です。これは、スピン依存電荷振動による『トンネル磁気誘電効果』に基づく、従来に無い新しい磁気-光学効果です。 掲載論文: Nobukiyo Kobayashi, Hiroshi Masumoto, Saburo Takahashi, Sadamichi Maekawa, "Optically Transparent Ferromagnetic Nanogranular Films with Tunable Transmittance", Scientific Reports 6, Article number: 34227 (2016), doi:10.1038/srep34227 プレスリリース: 東北大学
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研究会等のお知らせ2016.09.29
第85回インフォーマルセミナーのご案内(PDF) 「塩化アルミニウム系イオン液体の化学」 小浦 節子 客員教授(千葉工業大学 工学部応用化学科 教授) 会場:学際科学フロンティア研究所3階 交流スペース
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研究会等のお知らせ2016.09.28
第84回インフォーマルセミナーのご案内(PDF) 「Comprehensive E.coli single-gene knockout mutant libraries」 武藤 愛 助教(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科) 会場:学際科学フロンティア研究所3階 交流スペース
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会議発表・論文・出版2016.09.27
鎌田 誠司 助教 『Scientific Reports』に論文掲載、および報道発表 新領域創成研究部の鎌田誠司助教は、兵庫県立大学、岡山大学、山口大学、公益財団法人高輝度光科学研究センター、国立研究開発法人理化学研究所の研究者らと共同で、下部マントル主要構成鉱物であるブリッジマナイトが、陽イオン置換により弾性波速度の逆相関を示すことを明らかにしました。 この研究成果は、英国のオープンアクセス科学雑誌「Scientific Reports」において公開されました。 掲載論文: Hiroshi Fukui, Akira Yoneda, Akihiko Nakatsuka, Noriyoshi Tsujino, Seiji Kamada, Eiji Ohtani, Anton Shatskiy, Hiraoka, Naohisa Hirao, Satoshi Tsutsui, Hiroshi Uchiyama, & Alfred Q.R. Baron, "Effect of cation substitution on bridgmanite elasticity: A key to interpret seismic anomalies in the lower mantle", Scientific Reports 6, Article number:33337 (2016) プレスリリース: 東北大学
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会議発表・論文・出版2016.09.23
柴﨑 裕樹 助教 『American Mineralogist』、『PNAS』、および 『Geophysical Research Letters』に論文掲載 地球をはじめとする地球型惑星に分類されている惑星の中心には、金属で構成されている“核”が存在していると考えられています。この金属核は、鉄を主成分としていますが、鉄以外に10%程の軽元素と呼ばれる鉄より軽い元素が含まれていると考えられています。軽元素の種類によって鉄の物理量に与える影響は異なり、このことは、金属核のダイナミクス(例えば、核の形成や惑星地場の発生機構)等の議論にも強く影響を及ぼします。したがって、核中の軽元素の種類の特定が、地球惑星科学の最重要課題の一つとされています。 新領域創成研究部の柴﨑裕樹助教は、この問題に取り組むべく、本学理学研究科、東京大学、公益財団法人高輝度光科学研究センター、大阪大学の研究者と共同で、放射光施設SPring-8の高輝度X線とマルチアンビル型高温高圧発生装置を組み合わせて、核の主要構成元素である鉄の弾性波速度と密度を高温高圧下で測定し、弾性波速度と密度の詳細な温度圧力依存性を明らかにしました。これによると、bcc構造の鉄の弾性波速度は、P波速度とS波速度の圧力依存性は同程度である一方で、温度依存性はS波速度の方が約2倍大きいことが明らかになりました。さらに、核中の軽元素候補である珪素が加わると鉄の温度依存性が小さくなる可能性も指摘することができました。 今回の成果をもとに、鉄に与える軽元素の効果を定量的に明らかにしていくことで、核中の軽元素の種類の同定に繋がることが期待されます。 掲載論文: Y. Shibazaki, K. Nishida, Y. Higo, M. Igarashi, M. Tahara, T. Sakamaki, H. Terasaki, Y. Shimoyama, S. Kuwabara, Y. Takubo, E. Ohtani, "Compressional and shear wave velocities for polycrystalline bcc-Fe up to 6.3 GPa and 800 K", American Mineralogist 101, 1150, 2016 地球内部の主要構成物であるSiO2の高温高圧下での挙動を研究することは、地球内部の理解を進める上で非常に重要です。同様な理由から、SiO2のアナログ物質であるGeO2の研究も、地球内部の理解には欠かせないものとなります。柴崎助教は、米国カーネギー研究所の河野博士を中心とした共同研究により、地球内部でのマグマの挙動の解明を目的に、GeO2ガラスの高圧下での局所構造を、アメリカの放射光施設APSで測定しました。本研究では、高圧発生装置を大幅に改善し、これまで測定が不可能であった90万気圧という超高圧でのGeO2ガラスの局所構造を、世界最高水準で決定することに初めて成功しました。 本研究結果によると、GeO2ガラスは約40万気圧以上で、Ge-Oの配位数が6配位からさらに増加することが明らかになりました。このことは、ガラスの密度、さらにはマグマの密度が急激に増加する可能性を示唆しており、地球の深部には地球誕生初期のマグマが溜まっている可能性を示すことに成功しました。 掲載論文: Y. Kono, C. Kenney-Benson, D. Ikuta, Y. Shibazaki, Y. Wang, G. Shen, "Ultrahigh-pressure polyamorphism in GeO2 glass with coordination number > 6", Proceedings of the National Academy of Sciences 113, 3436, 2016 地球をはじめとする惑星核中の軽元素の種類や量を解明していくためには、主要構成物質である鉄の惑星中心の温度圧力条件での密度を正確に求めることが重要になってきます。柴崎助教は、米国カーネギー研究所のFei博士を中心とした共同研究により、ダイヤモンドアンビルセルとレーザー加熱装置を組み合わせて約200万気圧、2000度の温度圧力を発生し、アメリカの放射光施設APSにてX線回折実験を行うことで、高温高圧下での密度を測定しました。本研究では、圧力測定用の圧力マーカーを3種類用いることで、過去の鉄の密度データとの整合性を高める改善を行いました。 本研究で得られた鉄の密度データと過去のデータを組み合わせて、鉄の密度の温度圧力依存性を求めた結果、地球の内核は、鉄の密度よりも約4%小さいことが明らかになりました。今後、この値が地球内核の軽元素の同定を行う指針になることが期待されます。 掲載論文: Y. Fei, C. Murphy, Y. Shibazaki, A. Shahar, H. Huang, "Thermal equation of state of hcp-iron: Constraint on the density deficit of Earth's solid inner core", Geophysical Research Letters 43, 6837, 2016
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研究会等のお知らせ2016.09.22
東北大学考古資料展示「先史のかたち ― 連鎖する土器群めぐり」 会場:東北大学トンチクギャラリー〔工学部人間・環境系教育研究棟〕1階 (青葉山キャンパス〔F01〕) 主催/東北大学学際科学フロンティア研究所 東北大学工学部建築・社会環境工学科 東北大学大学院文学研究科 【詳しくはこちらをご覧ください。】
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受賞2016.09.16
曹 洋 さん(増本グループ博士課程3年) 『第29回日本セラミックス協会秋期シンポジウム 「最優秀賞」』を受賞 受賞日/2016年9月8日 増本研究室(先端学際基幹研究部・物質材料・エネルギー領域)の曹 洋さん(本学大学院工学研究科博士課程3年)が、日本セラミックス協会 第29回秋季シンポジウム:2016年9月7~9日:広島大学)において、「最優秀賞」を受賞しました。 本賞は、セッション『グリーンプロセッシングによる機能性セラミックスの新展開』の発表の中で、最も優れた内容の若手研究者の発表1件に対して与えられるシンポジウム賞です。 この成果は、東北大学および電磁材料研究所の共同研究により得られたものです。 タイトル: Tunneling-magneto-dielectric effect with high low-field sensitivity in Co/AlF granular multilayers. 受賞者名: 曹 洋 (大学院工学研究科・増本研究室 博士3年) 小林 伸聖 (電磁材料研究所) 張 亦文 (新領域創成研究部・物質材料・エネルギー領域) 大沼 繁弘 (電磁材料研究所) 増本 博(先端学際基幹研究部・物質材料・エネルギー領域) 左から:青野セッション長、曹 洋 さん、増本 博 教授