トピックス
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受賞2019.04.12
泉 正範氏、船本健一准教授が『平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞』を受賞 受賞発表日/2019年4月9日 理化学研究所環境資源科学研究センターの泉 正範研究員(2019年3月まで本研究所新領域創成研究部 助教)と本学流体科学研究所の船本健一准教授(2019年3月まで本研究所新領域創成研究部 准教授)が、『平成31年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞』を受賞することが決定しました。 本賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に対して、文部科学大臣より授与されるものです。 表彰式は、平成31年4月17日(水)に文部科学省にて行われます。 それぞれの受賞対象の業績は、以下の通りです。 泉 正範 氏「葉緑体を分解する細胞内経路の研究」 船本健一 准教授「流体情報学に基づく生体恒常性維持機構の解明に関する研究」 文部科学省: 平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1415044.htm
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会議発表・論文・出版2019.04.11
ウェブリリース 史上初、ブラックホールの撮影に成功 ― 東北大学 学際科学フロンティア研究所の當真賢二准教授は、イベント・ホライズン・テレスコープによるブラックホール撮影に貢献しました。 イベント・ホライズン・テレスコープは、地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクトであり、ブラックホールの画像を撮影することを目標としてきました。 2019年4月10日、研究チームは世界6か所で同時に行われた記者会見において、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で直接証明することに成功したことを発表しました。このことは、アインシュタインの一般相対性理論が正しいことの強い証拠であり、銀河の中心に巨大ブラックホールが確かに存在することを意味します。すなわちブラックホールの撮像は、上述のような過去100年に渡る物理学的および天文学的な問い対する、現代科学の究極的な到達点です。 それと同時に、これまでの解像度の限界を突破し、直接撮像によりブラックホール研究を行うという、新たな時代の幕開けとなりました。特に、ブラックホール近傍から噴き出しているプラズマ流(ブラックホールジェット)の起源に迫る研究が活発化すると期待されます。この成果は、アメリカの天文学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』特集号に6本の論文として掲載されました。 詳細は https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/top https://eventhorizontelescope.org/ をご覧ください。 イベント・ホライズン・テレスコープの建設と今日発表された観測成果は、何十年にもわたる観測的・技術的・理論的取り組みの賜物です。さらに、世界中から集まった200人以上の研究者たちの緊密な連携の結果でもあります。日本の研究者も、さまざまな面でこの研究に貢献しました。 まず、日本と台湾・韓国、北米、欧州が共同で運用するアルマ望遠鏡は、観測に参加した望遠鏡の中でもっと感度が高く、イベント・ホライズン・テレスコープ全体の感度の向上に大きな貢献をしました。また、アルマ望遠鏡をイベント・ホライズン・テレスコープの一員とするために、山頂のアンテナ群から山麓施設にデータを伝送する装置は国立天文台が開発しました。さらに、日本はアジアのパートナーと共に東アジア天文台を設立しており、東アジア天文台がハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡の運用を担っています。 イベント・ホライズン・テレスコープ日本チームの代表である本間希樹 国立天文台教授・水沢VLBI観測所長は、「日本の研究者は、ソフトウェアや研究においても貢献をしています。私たちは、『スパース・モデリング』と呼ばれる新しい手法をデータ処理に取り入れました。これにより、限られたデータから信頼性の高い画像を得ることができました。最終的には、4つの独立した内部チームが3つの手法でデータの画像化を行い、いずれもブラックホールシャドウが現れることを確認しました。」と語っています。 研究チームの一員で、東北大学 学際科学フロンティア研究所の當真賢二 准教授は、理論班の一人として、観測データと理論シミュレーションの比較の議論に携わりました。世界中のブラックホール理論専門家が集まった理論班は、アインシュタインの一般相対性理論とプラズマ物理に基づいた膨大な数の理論シミュレーションを行い、観測データが一般相対性理論の予言する回転ブラックホールが存在することと整合的であることを確認しました。 當真准教授らはこれまでのブラックホールジェットについての理論研究による知見を提供し、ジェットの観測と今回の観測を組み合わせることで、厳しく理論モデルを制限できることを示しました。 写真: イベント・ホライズン・テレスコープで撮影された、銀河M87中心の巨大ブラックホールシャドウ。 リング状の明るい部分の大きさはおよそ42マイクロ秒角であり、月面に置いた野球のボールを地球から見た時の大きさに相当します。 (Credit: EHT Collaboration)
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お知らせ2019.04.09
4月9日午後3時より、学際科学フロンティア研究所において、大野総長、青木理事・副学長(企画戦略総括、プロボスト)、早坂理事・副学長(研究担当)の出席のもと、総長とFRIS若手研究者の学際研究懇談会を開催いたしました。 当日は、新領域創成研究部7名の助教がそれぞれの研究報告を行い、本所での成果を発表いたしました。その後、大野総長らとの研究ディスカッション・若手研究者との意見交換を行いました。 懇談会では、研究課題個別の質疑応答も活発に行われましたが、それ以外にも東北大学として、FRIS若手研究者に期待することや課題、および今後の大学としての若手人材の環境整備等について議論が交わされました。 最後に早瀬所長から、今後ともこのような場を継続的に企画したいとの挨拶があり終了しました。 - 研究発表 小嶋隆幸 助教(物質材料・エネルギー領域) 「ホイスラー合金の触媒応用」 早瀬 元 助教(物質材料・エネルギー領域) 「ナノファイバーを用いたエアロゲル構造体作製」 山田 類 助教(物質材料・エネルギー領域) 「学術的、実用的観点を通じた金属ガラスの研究」 大学保一 助教(生命・環境領域) 「生命情報を担う莫大なDNA分子の複製メカニズムの探求」 鈴木大輔 助教(情報・システム領域) 「新概念不揮発再構成可能ロジックに基づく脳型情報処理ハードウェア」 木野久志 助教(デバイス・テクノロジー) 「微量検体に対応したFETバイオセンサの開発」 下西 隆 助教(先端基礎科学領域) 「学際研における宇宙分子進化史の研究」
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会議発表・論文・出版2019.04.04
学際科学フロンティア研究所 先端学際基幹研究部の才田淳治教授グループの教育研究支援者の郭威博士(現:中国 華中科学技術大学)らは、Mg基金属ガラスの熱的構造若返り現象を明らかにし、機械的特性の変化を報告しました。また本論文では、繰り返し液体窒素冷却処理(Deep Cryogenic Cycling Treatment (DCT))による構造若返り(未緩和状態への回復)現象もあわせて見いだし、科学誌Metallurgical and Materials Transactions A(Springer)に発表しました。 本グループでは、種々の方法によって金属ガラスの緩和状態を制御し、未緩和状態への回復(構造若返り)を目指す研究を行っています。郭博士らは、これまで代表的金属ガラスであるZr系合金を中心とする材料に対して構造若返り現象が起きることを報告してきました。今回の成果は、難加工材であるMg基の金属ガラスについて構造若返りによる構造変化と機械的特性(塑性変形性)の改善が可能かどうかを検討した結果を報告しました。この成果は金属ガラスにおける新たな構造制御法を提案するものです。 本成果は東北大学学際科学フロンティア研究所 学際研究促進プログラム「ランダム原子配列構造制御の基礎科学と新材料・新機能創成への融合展開」(平成26~28年度)の支援を受けて行った研究の一部です。 また本研究は中国 華中科学技術大学との共同研究です。 掲載論文: W. Guo, J. Saida, M. Zhao, S. Lü and S. Wu: Met. Mater. Trans.: 50A (2019)1125-1129. Thermal rejuvenation of an Mg-based metallic glass. DOI: 10.1007/s11661-018-5062-9
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会議発表・論文・出版2019.04.04
学際科学フロンティア研究所 先端学際基幹研究部の才田淳治教授、新領域創成研究部 山田 類助教らは、金属ガラスの熱的構造若返り(未緩和状態への回復)現象に関する解説文を、科学誌 材料(公益社団法人 日本材料学会)に発表しました。 金属ガラスはランダム原子配列構造を有しますが、適当な温度で熱処理すると、過剰に導入された空隙や原子配列の局所的な規則化(これらを広く構造緩和と呼びます)を起こすことが知られています。この構造緩和は機械的特性を著しく劣化させるため、その挙動の解明や改善方法が大きな課題となっています。本グループでは、種々の方法によって緩和状態を制御し、未緩和状態への回復(構造若返り)を目指す研究を行っています。本解説文は、日本材料学会金属ガラス部門委員会の依頼によって執筆され、熱処理による構造若返り現象に関する一連の研究結果を解説したものです。 本成果は文部科学省科学研究費補助金 基盤研究A(No.23246109)および東北大学学際科学フロンティア研究所 学際研究促進プログラム「ランダム原子配列構造制御の基礎科学と新 材料・新機能創成への融合展開」(平成26~28年度)の支援を受けて行った研究の一部です。 また本研究は国立研究開発法人 物質・材料研究機構との共同研究です。 掲載解説: 才田淳治、山田 類、譯田真人 :材料 : 68 (2019) 185-190. 金属ガラスの熱的構造若返り
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会議発表・論文・出版2019.04.04
学際科学フロンティア研究所 先端学際基幹研究部の才田淳治教授グループの教育研究支援者の郭威博士(現:中国 華中科学技術大学)らは、不均質なオーダー領域が自己組織化する金属ガラスのCu47.5Zr47.5Al5に対して、繰り返し液体窒素冷却処理(Deep Cryogenic Cycling Treatment (DCT))による構造若返り(未緩和状態への回復)現象を調べ、オーダー領域がDCTによって非加熱相変態(結晶化)を起こすことを見いだしました。また残存ガラス相は構造若返り挙動を示すことを考察し、あわせて機械的特性(塑性変形性)も向上することを見いだし、科学誌Journal of Materials Science(Springer)に発表しました。 金属ガラスはランダム原子配列構造を有しますが、適当な温度で熱処理すると、過剰に導入された空隙や原子配列の局所的な規則化(これらを広く構造緩和と呼びます)を起こすことが知られています。この構造緩和は機械的特性を著しく劣化させるため、その挙動の解明や改善方法が大きな課題となっています。本グループでは、種々の方法によって緩和状態を制御し、未緩和状態への回復(構造若返り)を目指す研究を行っています。郭博士らは、これまで代表的金属ガラスであるZr50Cu40Al10合金等において、繰り返し液体窒素冷却処理を行うことで構造若返り現象が起きることを報告してきました。今回の成果は、ナノオーダー領域が作製時に自己組織化するCu-Zr-Al合金系の不均質金属ガラスと呼ばれる材料を用い、繰り返し液体窒素冷却処理によるナノオーダー領域の非加熱結晶化とガラス相の構造若返りが複雑に発現する現象を見いだすとともに、それにともなう機械的特性(塑性変形性)の改善を報告し、その機構について考察しました。この成果は金属ガラスにおける新たな構造制御法を提案するものです。 本成果は東北大学学際科学フロンティア研究所 学際研究促進プログラム「ランダム原子配列構造制御の基礎科学と新材料・新機能創成への融合展開」(平成26~28年度)の支援を受けて行った研究の一部です。 また本研究は中国 華中科学技術大学との共同研究です。 掲載論文: W. Guo, J. Saida, M. Zhao, S. Lü and S. Wu: J. Mater. Sci. : 54 (2019)8778-8785. Non-thermal crystallization process in heterogeneous metallic glass upon deep cryogenic cycling treatment. DOI: 10.1007/s10853-019-03515-7