トピックス
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会議発表・論文・出版2023.09.06
ハブが進化の過程で獲得した多様な毒成分の主要な成分は、蛇毒メタロプロテアーゼ(snake venom metalloproteinases, SVMPs)というタンパク質分解酵素です。SVMPsは、ヒトに存在するADAMs(a disintegrin and metalloproteinases)ファミリータンパク質と共通の祖先に由来します。 東北大学大学院農学研究科の二井勇人准教授と小川智久教授のグループは、ADAMsがアルツハイマー病の原因となるアミロイドβ(Aβ)の生成を抑制するプロテアーゼとして知られていることから、SVMPsの医療応用の可能性を探りました。 本研究グループは東北大学学際科学フロンティア研究所佐藤伸一助教、東京大学大学院薬学研究科富田泰輔教授との共同研究により、SVMPsがヒト細胞からのAβ生産を大幅に減少させることを明らかにし、有毒なAβを短いペプチド(p3)に変換する切断部位を特定しました。さらに、試験管内でAβのアミロイド線維を生成させる実験から、SVMPsはアミロイド線維を分解しないものの、アミロイド線維の生成を抑制することも明らかにしました。今後の研究によって、Aβ分解プロテアーゼを用いた治療法の開発に役立つことが期待されます。 本研究成果は、日本時間2023年8月12日に科学雑誌『Toxins』に掲載されました。 図:(a)牙からたれるハブ(flavoviridis)の毒液(Shibata et al., Sci. Rep. 2018, 8, 11300.)。 (b)ヒトのADAMsファミリータンパク質と、ハブSVMPsのタンパク質構造の模式図。それぞれ、メタロプロテアーゼ(M),ディスインテグリン(D),システインリッチ(C),上皮細胞成長因子(E)のドメインから構成されます。ADAMsは、膜貫通領域を持つ膜タンパク質なのですが、SVMPは分泌される可溶性タンパク質という違いがあります。 (c)アミロイド前駆体タンパク質(APP)の分解経路とSVMPの作用点:APPは細胞体領域を切断するADAMsやBACE1と、切断後の断片をさらに切断するγセクレターゼによって2段階に切断され、バラバラに分解されます。それぞれの切断部位は、歴史的に、α、β、γ部位と呼ばれます。最初のプロテアーゼの違いで、アミロイド Aβを作り出すアミロイド生成経路と無害なペプチド p3を作り出す非アミロイド生成経路の二つの分解経路に分かれます。本研究では、ハブのSVMP がAβ をα 部位で分解することで、無毒なp3 ペプチドへ変換することが明らかになりました。((c,d)は、Futai et al., Toxins 2023, 15(8), 500.より改変。) 論文情報: タイトル:A metalloproteinase cocktail from the venom of Protobothrops flavoviridis cleaves amyloid beta peptides at the α-cleavage site. 著者:Eugene Futai1*, Hajime Kawasaki1, Shinichi Sato2, Khadija Daoudi1, Masafumi Hidaka1, Taisuke Tomita3, and Tomohisa Ogawa1 *責任著者:東北大学大学院農学研究科 准教授 二井勇人 掲載誌:Toxins 著者所属: 1 Laboratory of Enzymology, Graduate School of Agricultural Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8572, Japan 2 Frontier Research Institute for Interdisciplinary Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8578, Japan 3 Laboratory of Neuropathology and Neuroscience, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, The University of Tokyo, Bunkyo-ku, Tokyo 113- 0033, Japan DOI: 10.3390/toxins15080500 URL: https://www.mdpi.com/2072-6651/15/8/500 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/08/press20230831-03-habu.html 東北大学大学院農学研究科 https://www.agri.tohoku.ac.jp/jp/news/press20230831-03-habu/
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研究会等のお知らせ2023.09.05
ハイブリッド開催 / Hybrid Event FRIS Hub Meetingは、FRISの研究者全員が参加する研究発表セミナーで、月に一度、8月を除く毎月第4木曜日に開催しています。Hub Meetingの趣旨は、発表者が全領域の研究者を対象として、研究のイントロと分かりやすい専門的内容の紹介を行い、新テーマ創成の芽を作ることです。2021年1月からは世界で活躍できる研究者戦略育成事業「学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS)」のTI-FRIS Hub Meetingと合同で開催しています。 Hub Meetingでは英語での発表を強く推奨しています。異分野研究者同士では共通の常識や考え方は望めません。参加者は発表中にどんどん質問し、討論し、理解を深めるようにしています。Hub Meeting参加対象(下記)の方は積極的にご参加ください。 【TI-FRISは、弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島大学、宮城教育大学によるコンソーシアム事業です。】 第46回 FRIS Hub Meeting(TI-FRIS Hub Meetingとの合同開催) 日時:2023年9月28日(木)11:00-12:00 開催方式:ハイブリッド開催(オンライン/Zoom・学際科学フロンティア研究所セミナー室) Language: English 参加ご希望の方は、事前登録が必要になります。 参加申し込みフォームよりご登録ください。 登録締切:9月27日(水)15:00 発表者: 高橋克幸 准教授 (岩手大学/物質材料・エネルギ/TI-FRISフェロー) 発表タイトル: 高電圧パルスパワーで拓く学際研究/ Interdisciplinary research developed by pulsed power technology Summary : Pulsed power is a technology that accumulates small energy over a relatively long period of time and release it as a short, high-power, and high-voltage pulse. This technology can induce non-linear phenomena such as the generation of plasma in a short time in the order of nanoseconds and microseconds with a compact and small system. In this presentation, the presenter will introduce the current industrial applications of pulsed power and plasma, as well as novel research related to the environment, resource recycling and agricultural applications, combined with research in other fields. Hub Meeting参加者 趣旨と守秘義務を理解・了解していることを条件に、以下の方が参加できます。 Hub Meetingメンバー 発表のターゲットとする参加者、アーカイブ視聴対象 ・東北大学学際科学フロンティア研究所教員 ・TI-FRISフェロー オブザーバー Hub Meetingに興味のある下記の参加者(質問・議論にも参加することができます) ・東北大学学際高等研究教育院研究教育院生 ・東北大学教職員・学生 ・TI-FRIS参画大学教職員・学生 ・TI-FRIS関係者(委員会委員等) ・「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の育成対象者 ・科学記者 ・学際研所長/TI-FRISプログラムマネージャーが認めたもの ◆FRIS Hub Meetingについて
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会議発表・論文・出版2023.08.25
株式会社ElevationSpaceと国立大学法人東北大学学際科学フロンティア研究所の齋藤勇士助教は、宇宙で実証・実験を行った後に地球へ帰還することができる無人小型衛星で実用化を目指すハイブリッドスラスタについて、軌道離脱に必要となる長時間の燃焼に成功しました。 軌道離脱を実現するような高い推力と、小型衛星に搭載可能な大きさ、経済性、安全性を兼ね備えるハイブリッドスラスタは、世界でも宇宙実証に至っている例がなく(※)、ElevationSpaceが2025年に打ち上げを予定している無人小型衛星で世界に先駆けた実用化を目指します。 また、本ハイブリッドスラスタは、打ち上げ数の急増する小型衛星市場で高い需要が見込まれるほか、月以遠への高頻度な宇宙探査実現にも寄与すると考えられ、今後も、国が「宇宙基本計画」で掲げる宇宙産業市場の拡大や宇宙開発領域における国際競争力向上に貢献できるよう、研究開発を加速していきます。 ※2023年8月 株式会社ElevationSpace調べ 図:燃焼試験時の写真 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/08/press20230825-01-hybrid.html 株式会社 ElevationSpace https://elevation-space.com/posts/news_20230825
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会議発表・論文・出版2023.08.24
持続可能な社会基盤を築くため、各種再生エネルギーやその貯蔵技術の需要が高まっています。近年、よりイノベーティブな、車体や壁・柱など荷重を支える構造体そのものを蓄電材料としても扱う「構造的エネルギー貯蔵」という発想が注目されています。構造と機能を融合させる未来技術の実現が期待されています。 東北大学材料科学高等研究所の工藤朗助教、唐睿特任助教(研究当時)、折茂慎一教授、西原洋知教授、同大学多元物質科学研究所の金丸和也大学院生、吉井丈晴助教、同大学学際科学フロンティア研究所の韓久慧助教(研究当時)、同大学金属材料研究所の木須一彰助教、米国ジョンズ・ホプキンス大学の陳明偉教授らの国際共同研究チームは、機械的強度に優れる格子構造とキャパシタ性能を付与する比表面積を併せ持つ炭素マイクロ構造「階層的多孔質カーボンマイクロラティス」を作製しました。光造形3Dプリンタ用に調整した複合材料樹脂を用いて、炭素化後に塩酸処理を施す事で梁の内部にマクロ・メソ・ナノの3段階サイズの孔の導入に成功しました。キャパシタとして機能する比表面積を有しながら圧縮強度7.45-10.45MPa・ヤング率375-736MPaを実現し、水系・有機系電解質で電極面積あたり最大容量11.5 F・cm-2および1.5 F・cm-2を達成しました。実用水準の機械的性能を持つミリメートル厚の構造全体を、電気化学キャパシタとして初めて実証しました。 本研究成果は、2023年8月2日にナノテクノロジー・科学の専門誌Smallにオンライン掲載されました。 図:階層的多孔質カーボンマイクロラティスの外観と電子顕微鏡写真。(a) 造形後・炭素化後・MgOナノ粒子脱離後の各段階での試料の外観。(b) 走査電子顕微鏡と透過電子顕微鏡による4段階の多孔質構造の写真。 論文情報: タイトル:Stereolithography 3D Printed Carbon Microlattices with Hierarchical Porosity for Structural and Functional Applications 著者:Akira Kudo*, Kazuya Kanamaru, Jiuhui Han, Rui Tang, Kazuaki Kisu, Takeharu Yoshii, Shin-ichi Orimo, Hirotomo Nishihara*, Mingwei Chen* 責任著者:東北大学材料科学高等研究所 助教 工藤朗 東北大学材料科学高等研究所・多元物質科学研究所 教授 西原洋知 ジョンズ・ホプキンス大学工学部材料科学専攻 教授 陳明偉 掲載誌:Small DOI: 10.1002/smll.202301525 URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/smll.202301525 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/08/press20230823-01-3d.html 東北大学材料科学高等研究所 https://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jp/achievements/press/2023/20230823_001666.html 東北大学多元物質科学研究所 http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20230823/ 東北大学金属材料研究所 http://www.imr.tohoku.ac.jp/ja/news/results/detail---id-1529.html
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研究会等のお知らせ2023.08.03
趣旨: 宇宙空間に存在する放射線(宇宙線)は、宇宙の成り立ちや物質創生・循環においても非常に重要な役割を担っている。本研究会では、太陽・惑星・銀河といった多様なスケールにおける宇宙線の役割を整理し、現状の結果および未解決な問題を集約する。そして、今後の将来計画および観測において、解明が期待できる部分や新たな共同研究の種を探す。さらに、自由闊達な議論のもと、理論・実験の両輪によって駆動できる研究体制を整え、分野の垣根を越えた研究者間の有機的な繋がりによって、宇宙線研究で戮力協心するグランドビジョンを構想する。 日時:2023年 9月14日、 15日 会場:青葉山キャンパス 講演申込締切 8月9日(水) 参加登録締切 9月6日(水) 登録フォーム https://forms.gle/3DS4KsCSyhbDnU6y5 招待講演者:(敬称略, 50音順) 岡 知彦(立命館大学) 櫻井 駿介(大阪公立大学) 辻 直希(京都大学) 寺田 健太郎(大阪大学) 冨田 沙羅(東北大学) 中 竜大 (東邦大学) 馬上 謙一(北海道大学) 古家 健次(国立天文台) 三宅 晶子 (茨城高専) 三宅 芙沙(名古屋大学) 世話人: 木村 成生(東北大学)、藤井 俊博(大阪公立大学)、藤井 悠里(京都大学)、松本 徹(京都大学) Webページ: https://sites.google.com/kyoto-u.ac.jp/cosmic-ray-symposium-202309?pli=1 この研究会は学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS)の支援を受けています。 支援: 科研費 基盤研究(A) 21H04470 「新型大気蛍光望遠鏡アレイによる極高エネルギー宇宙線天文学の開拓」 科研費 若手研究 22K14028「ブラックホール降着流での宇宙線加速過程とニュートリノ放射」 科研費 若手研究 22K14086「氷衛星内部におけるリンの存在状態の解明:生命を育む衛星の形成環境」 科研費 若手研究 21K13981 「宇宙風化模擬実験から探る、太陽系小天体表面の有機物の化学進化」 学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS) 「令和5年度研究成果発表支援及びセミナー開催支援」 白眉プロジェクト 「小惑星リュウグウとイトカワの試料から探る宇宙における固体の進化と変遷」 お問合せ: 木村成生 shigeo*astr.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
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研究会等のお知らせ2023.07.27
Tohoku Initiative for NeuroTech Innovations 科学技術が高度に発達した現在でも、脳の働きについてはまだ謎に包まれています。脳機能や脳病態の解明のために、学術界と産業界が緊密に連携した学際的・国際的なアプローチが求められています。そこで本シンポジウムでは、脳の謎を明らかにするという同一の目的を抱く生命科学や工学などの様々な分野で活躍している国内外の研究者・技術者・経営者たちが、ここ東北大学に集結し、脳というブラックボックスを開くことが可能となる脳工学(NeuroTech)の健全な発展について、議論します。 市民向けのアート「NeuroTech Art」展示も開催します。市民の方々に、「脳の科学・工学の融合」に触れ、脳の美しさ、複雑さ、神秘性を体感していただきたいと思います。 本NeuroTechシンポジウムは、東北大学学際科学フロンティア研究所の脳科学や神経工学などの分野で活躍している若手研究者が中心となり、企画したイベントです。また、本イベントは、本学の知の創出センターJunior Research Programから支援を受け、人類社会の重要課題となっている脳の謎を解き明かすため、NeuroTechの新たなフロンティアを切り拓くことを目的としています。 入場無料、どなたでもご参加いただけます。「脳の科学・工学の融合」に触れる機会を楽しんでいただきたいと思います。ご参加を心よりお待ちしております。 ■日時: シンポジウム: 2023年7月31日(水)8:45 - 18:00 (※シンポジウム使用言語:英語) アート展示: 2023年7月31日(水)~8月4日(金)10:00 - 16:00(最終日は12:00まで) ■会場: 仙台市青葉区片平二丁目1-1 東北大学 片平キャンパス 知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity) シンポジウム: 3階講義室 アート展示:1階ラウンジおよび2階会議室 ■プログラムアドバイザー: 大隅典子 東北大学 副学長/東北大学大学院 医学系研究科 教授 虫明元 東北大学大学院 医学系研究科 教授 ■オーガナイザー: 郭媛元 東北大学 学際科学フロンティア研究所 准教授 阿部博弥 東北大学 学際科学フロンティア研究所 助教 市之瀬敏晴 東北大学 学際科学フロンティア研究所 助教 岩間智紀 作家、東北大学出身 ■発表者 基調講演: 尾藤晴彦 東京大学大学院 医学系研究科 教授 藤井直敬 株式会社ハコスコ 取締役社長 筒井 健一郎 東北大学大学院 生命科学研究科 教授 講演: 田中 和正 沖縄科学技術大学院大学 准教授 平野恭敬 香港科学技術大学 助教 Marylka Yoe Uusisaari 沖縄科学技術大学院大学 准教授 市之瀬 敏晴 東北大学 助教 Ritchie Chen University of California, San Francisco (UCSF), Assistant Professor 山本 英明 東北大学 准教授 池内 与志穂 東京大学 准教授 丹羽 伸介 東北大学 准教授 井上 貴雄 山口大学 准教授 金子 沙永 北海道大学 准教授 森 竜太郎 コニカミノルタ株式会社 執行役員Chief Innovation Officer(CTO) アーティストプロフィール: 岩間智紀 Tomoki Iwama 作家。東北大学大学院環境科学研究科(博士後期課程)修了後、東京を拠点に制作活動を行う。アートコレクティブ「キラーギロチン」のメンバーとしても活動。 ■参加申込 参加費は無料です。 シンポジウムについての参加申し込み方法: https://forms.gle/PaSVaSQebSgn8hcdA 2023年7月26日(水)15:00まで、会場参加 60名(先着順) ※アート展示については事前の申し込みは不要です。 ■主催・共催 共同主催:東北大学 研究推進・支援機構 知の創出センター 東北大学 学際科学フロンティア研究所 共催:学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ (TI-FRIS) ■イベント詳細(英語) 下記ウェブページをご覧ください。 https://www.tfc.tohoku.ac.jp/junior-research-program/program/8006.html
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会議発表・論文・出版2023.07.25
北海道大学大学院理学研究院の常松友美講師(前所属 東北大学大学院生命科学研究科兼学際科学フロンティア研究所、現 学際科学フロンティア研究所客員准教授)らの研究グループは、英国ストラスクライド大学の坂田秀三准教授と共に、マウスを用いて、脳幹脳波であるP波と、記憶固定化に重要な海馬脳波との関係を検討し、ノンレム睡眠とレム睡眠で逆の働きをしていることを明らかにしました。 P波は1950年代以降にネコやラットで発見されましたが、半世紀以上もの間、マウスには存在しないと考えられてきており、近年研究が滞っていました。しかしながら、2020年に研究グループが世界で初めてマウスのP波の記録に成功しています。 今回、新たにP波と海馬脳波との関連を検討したところ、ノンレム睡眠とレム睡眠で逆の働きをしていることが分かりました。レム睡眠P波は海馬脳波と協調して作用していましたが、ノンレム睡眠P波は海馬脳波を抑制していました。同じP波でありながら、ノンレム睡眠とレム睡眠では、記憶固定化において相反する役割を担っている可能性を明らかにしました。これは、アカゲザルでも観測されています。 未だに誰も実験的に明らかに出来ていませんが、P波は夢の発生メカニズムであると提唱されています。レム睡眠の夢は奇想天外でストーリー性が高いですが、ノンレム睡眠の夢は短くて思考的と言われています。睡眠ステージによって夢の内容が異なるのは、P波の持つ生理的役割の違いが原因なのかもしれません。今後、明らかにしていく必要があります。 本研究成果は、2023年7月21日(金)公開の『SLEEP』誌にオンライン掲載されました。 図:P波と海馬脳波との関係 ノンレム睡眠ではP波は海馬脳波を抑制し、レム睡眠ではP波は海馬脳波と協調する。記憶固定化において相反する役割を持つ可能性を示唆。 論文情報: タイトル:Pontine waves accompanied by short hippocampal sharp wave-ripples during non-rapid eye movement sleep(ノンレム睡眠中のP波と鋭波リップルは拮抗的に作用する) 著者:Tomomi Tsunematsu, Sumire Matsumoto, Mirna Merkler, Shuzo Sakata 掲載誌:SLEEP DOI: 10.1093/sleep/zsad193 URL: https://doi.org/10.1093/sleep/zsad193 プレスリリース: 東北大学 http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/07/press20230725-02-sleep.html 東北大学大学院生命科学研究科 https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/results/detail---id-51488.html 北海道大学 https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/07/post-1269.html
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受賞2023.07.20
先端学際基幹研究部の増本 博 教授は、東北大学金属材料研究所附属新素材共同研究開発センターにおける「第17回 共同利用研究課題最優秀賞」を受賞しました。 本賞は、東北大学金属材料研究所附属新素材共同研究開発センターにおける共同利用研究採択課題67件のうち、審査委員による高得点採択課題及び顕著な成果を上げた採択課題を、『東北大学金属材料研究所附属新素材共同研究開発センター共同利用研究課題最優秀賞』として表彰する制度です。 受賞日:2023年5月30日 受賞対象:課題番号202112-CRKEQ-0206 「磁性粒子-絶縁体ナノグラニュラー薄膜の作製および構造と特性に関する研究」 ホームページ:http://gimrt.www.imr.tohoku.ac.jp/crdam/20230705-1 (前列右:増本博教授)
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受賞2023.07.18
新領域創成研究部の鈴木博人助教は、国際学会「International Conference onStrongly Correlated Electron Systems 2023」において「Brian R. Coles Prize」を受賞しました。 本賞は強相関電子系における新規な現象の発見や実験的研究に関するものであり、博士号取得後8年以内の若手研究者に授与されます。鈴木助教の受賞理由は「テンダーX線領域共鳴非弾性X線散乱装置の開発による幅広い強相関物質における物理の開拓」です。 https://www.sces2023.org/main/pr_awards.htm
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研究会等のお知らせ2023.07.12
全領域合同研究交流会 特別企画「第8回 FRIS/DIARE Joint Workshop」 FRISとDIAREのメンバーは交流と研究テーマ創造を目的に活発な議論を行っています。このJoint Workshopでは、多くの研究者が一堂に会し、学内で現在行われている様々な学際研究を網羅的に知り、交流を広げることを目的としています。 日時:令和5年 8月 7日(月)10:00~18:30 場所:片平さくらホール 主催:学際科学フロンティア研究所(FRIS)、学際高等研究教育院(DIARE) 参加者:FRIS教員、DIARE教育院生 申込方法:メールにてお申し込みください。 申込宛先:senryaku*iiare.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください) 申込締切:2023年7月31日(月) 実施方法:対面 補足: FRIS/DIARE Joint Workshopは毎年1回開催しています。これまでのworkshopについてはこちら ポスターボードはA0縦サイズが貼れる大きさです。その大きさに収まれば小さいサイズの紙を数枚貼り付けても構いません。The size of poster board is for putting A0 sized paper of portrait orientation. ポスターのタイトルは研究費応募時に設定するような形式的なものではなく、キャッチーあるいはエッジの効いたもので異分野研究者を惹きつけるものにしてください。The title of your poster must not be a formal one as put for budget application, but be a catchy or edgy one, attractive to researchers of different fields. ポスターの内容は、研究成果よりは研究分野の面白さや動向、研究手法の紹介を重視してください。その方が異分野交流を活性化します。(研究成果がまだ出ていないと思う院生も発表してください。)In your poster presentation, please emphasize what is interesting, the current trend of your research field, and your research methods, rather than your research results. That will activate the cross-field communications. (So please make presentation even if you don't think you got a research result.) 英語対応をできるだけお願いします。タイトルやキーワードに英語を付与するだけでも違います。Put Japanese on some key words in your poster, if possible. プログラム: 10:00-10:10 開会のあいさつ。全体アナウンス 10:10-10:50 招待講演1:丸岡奈津美氏(宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター 学振PD、教育院OG) 11:00-12:30 ポスターセッション1 12:30-14:00 昼休憩 14:00-14:40 招待講演2:鈴木朱羅氏(大阪大学大学院 工学研究科 学振PD、教育院OB) 14:50-16:20 ポスターセッション2 16:30-17:30 学際研究やキャリアパスについてのディスカッション(パネリスト:学際研助教) 17:30-18:30 情報交換会(軽食付き) 問い合わせ先 学際高等研究教育院 総合戦略研究教育企画室 @ ■全領域合同研究交流会について