トピックス
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研究会等のお知らせ2024.09.09
●セミナーのタイトル「テクノロジーを駆使した神経変性疾患の研究」 ●講演者名:井上 治久(京都大学iPS細胞研究所 副所長・教授) ●アブストラクト 高齢社会の到来とともに、神経難病・認知症に罹患される方の数は増大しています。筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)やアルツハイマー病など、これらの難治性神経疾患では、神経症状は進行性で、進行を完全に抑止し、疾患を消滅させる根治治療は未だ確立していません。2006年にマウスで、2007年にヒトで誕生した人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell: iPS細胞)とその作製技術は、基礎研究のみならず医療分野を含む幅広い分野に応用される基盤技術となっています。(CiRA websiteより) 本セミナーでは、これまで融合してきたテクノロジーとiPS細胞による神経疾患研究と現在の取り組みについてお話しさせていただきます。 ●日時 2024年9月19日(木)15:00~17:00 ●会場 学際科学フロンティア研究所1Fセミナー室&オンライン ●主催 東北大学 学際科学フロンティア研究所 ●Organizer 奥村正樹 准教授(okmasaki_at_tohoku.ac.jp ※_at_を@に変更してください) ●ZoomのURL https://us05web.zoom.us/j/82964609667?pwd=38u3qKdi5O7xFG74IkoG1do7Z9oWjx.1 ミーティング ID: 829 6460 9667 パスコード: v65Y41
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受賞2024.09.09
新領域創成研究部の石井琢郎助教が、一般社団法人日本排尿機能学会「2024年度 日本排尿機能学会 学会賞論文部門(臨床部門)」を受賞しました。 本賞は、前年(2023年1月1日から12月31日)に発行された学術誌に掲載された下部尿路機能に関する学術論文で、独創性、重要性、発展性の高い研究成果に授与されるものです。 受賞対象の論文: タイトル:Transrectal ultrasound vector projectile imaging for time‐resolved visualization of flow dynamics in the male urethra: Aclinical pilot study 著者:Takuro Ishii, Tomonori Yamanishi, Tomohiko Kamasako, Chiharu Shibata, Miki Fuse, Mayuko Kaga, Kanya Kaga, Hassan Nahas, Billy Y. S. Yiu, Alfred C. H. Yu, Yoshifumi Saijo 掲載誌:Medical Physics DOI: 10.1002/mp.16834 URL: https://aapm.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mp.16834
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会議発表・論文・出版2024.08.29
ブラックホールは降着円盤と呼ばれる回転するガスに取り囲まれており、このガスは複雑な乱流状態にあります。しかし、その性質は長年謎に包まれていました。 東北大学学際科学フロンティア研究所(FRIS)の川面洋平助教(現・宇都宮大学データサイエンス経営学部准教授および東北大学大学院理学研究科客員研究員)とFRISの木村成生助教(同大学院理学研究科兼務)は、理化学研究所の「富岳」や国立天文台の「アテルイII」などのスーパーコンピュータを駆使して従来にない極めて高解像度のシミュレーションを実施し、降着円盤の乱流が持つ物理的性質を明らかにしました。 特に注目すべきは、大きな渦と小さな渦をつなぐ「慣性領域」において「遅い磁気音波」と呼ばれる縦波が支配的に存在することを発見したことです。この発見により、降着円盤内でなぜ電子よりプラス電荷のイオンの方が効率的に加熱されるのかという観測事実の理論的説明が可能になりました。この研究成果は、2019年4月にブラックホールの影の撮影成功を発表したイベント・ホライズン・テレスコープによる観測データの解釈にも重要な示唆を与えるものです。 本研究成果は科学誌Science Advancesに2024年8月28日(米国東部夏時間)付で掲載されました。 図:ブラックホール降着円盤のイメージ図と本研究で行った高解像度シミュレーションによって得られた磁場揺動分布。大きいスケールの渦が分裂していき、細かいランダムな渦構造が生まれる。(クレジット:川面洋平) 論文情報: タイトル:Inertial range of magnetorotational turbulence 著者:Yohei Kawazura* and Shigeo S. Kimura *責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 川面 洋平 (現・宇都宮大学データサイエンス経営学部准教授および東北大学大学院理学研究科客員研究員) 掲載誌:Science Advances DOI: 10.1126/sciadv.adp4965 URL: https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adp4965 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/08/press20240829-02-blackhole.html 東北大学 大学院理学研究科 https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20240829-13348.html
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会議発表・論文・出版2024.08.29
近年、がんや神経変性疾患といった疾患とミトコンドリアとの関わりが明らかになり、ミトコンドリアを標的とする創薬手法の開発に関心が寄せられています。低分子化合物を用い、生体内のタンパク質分解機構を利用して任意のタンパク質を選択的に分解へと導く技術targeted protein degradation(TPD)が新しい創薬モダリティとして注目されています。しかし、ミトコンドリアは独自のタンパク質分解機構を持っており、従来のTPD技術ではミトコンドリアに局在するタンパク質を標的にできませんでした。 東北大学大学院生命科学研究科の友重秀介助教、石川稔教授、学際科学フロンティア研究所の佐藤伸一准教授らのグループは、これまでとは異なる化合物デザインによってミトコンドリアで機能するTPD技術「mitoTPD」を開発しました。ミトコンドリアを断片化するタンパク質をミトコンドリアに過剰発現させた細胞に本技術を用いることで、ミトコンドリア形態の正常化にも成功しました。これは、ミトコンドリアの形態操作やミトコンドリア異常の回復への活用が可能な技術であり、新たなミトコンドリア創薬手法や新規研究技術への展開が期待されます。 本成果は、英国王立化学会の学術誌Chemical Science誌にて、2024年8月29日付けで公開されました。 図:本研究で開発したmitoTPD技術の概要。 論文情報: タイトル:Targeted Protein Degradation in the Mitochondrial Matrix and Its Application to Chemical Control of Mitochondrial Morphology 著者:Wakana Yamada, Shusuke Tomoshige,* Sho Nakamura, Shinichi Sato, Minoru Ishikawa* *責任著者:東北大学大学院生命科学研究科 助教 友重秀介、教授 石川稔 掲載誌:Chemical Science DOI:10.1039/d4sc03145h URL: https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/sc/d4sc03145h プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/08/press20240829-03-mitoTPD.html 東北大学 大学院生命科学研究科 https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/results/detail---id-52154.html
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研究会等のお知らせ2024.08.21
ハイブリッド開催 / Hybrid Event FRIS Hub Meetingは、FRISの研究者全員が参加する研究発表セミナーで、月に一度、8月を除く毎月第4金曜日に開催しています。Hub Meetingの趣旨は、発表者が全領域の研究者を対象として、研究のイントロと分かりやすい専門的内容の紹介を行い、新テーマ創成の芽を作ることです。2021年1月からは世界で活躍できる研究者戦略育成事業「学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS)」のTI-FRIS Hub Meetingと合同で開催しています。 Hub Meetingでは英語での発表を強く推奨しています。異分野研究者同士では共通の常識や考え方は望めません。参加者は発表中にどんどん質問し、討論し、理解を深めるようにしています。Hub Meeting参加対象(下記)の方は積極的にご参加ください。 【TI-FRISは、弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島大学、宮城教育大学によるコンソーシアム事業です。】 第57回 FRIS Hub Meeting(TI-FRIS Hub Meetingとの合同開催) 日時:2024年9月27日(金)16:00- 開催方式:ハイブリッド開催(オンライン/Zoom・学際科学フロンティア研究所セミナー室) Language: English 参加ご希望の方は、事前登録が必要になります。 参加申し込みフォームよりご登録ください。 登録締切:9月26日(木)15:00 発表者: 河野直樹 准教授 (秋田大学 / 物質材料・エネルギー / TI-FRISフェロー) 発表タイトル: 放射線計測のための発光材料 / Luminescence materials for radiation measurements 発表内容の概要: Luminescence materials for radiation measurements have gained much attention in many applications such as medical devices, environmental radiation monitoring, and security systems. The requirements of the luminescence materials depend on each application. There is no material that meets all the requirements for all applications; therefore, the suitable material must be chosen for each application. In this meeting, fundamental luminescence materials and the luminescence mechanism for use in radiation measurements are introduced. In addition, my recent works on various luminescence materials such as transparent ceramics, glasses, and organic-inorganic hybrid single crystals are mentioned in detail. Hub Meeting参加者 趣旨と守秘義務を理解・了解していることを条件に、以下の方が参加できます。 Hub Meetingメンバー 発表のターゲットとする参加者、アーカイブ視聴対象 ・東北大学学際科学フロンティア研究所教員 ・TI-FRISフェロー オブザーバー Hub Meetingに興味のある下記の参加者(質問・議論にも参加することができます) ・東北大学学際高等研究教育院研究教育院生 ・東北大学教職員・学生 ・TI-FRIS参画大学教職員・学生 ・TI-FRIS関係者(委員会委員等) ・「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の育成対象者 ・科学記者 ・学際研所長/TI-FRISプログラムマネージャーが認めたもの ◆FRIS Hub Meetingについて
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会議発表・論文・出版2024.08.02
私たちの体を構成する多彩な細胞のほとんどは同一のゲノムを持ちます。この「同じゲノムから多彩な細胞がどのようにして生まれるか」は、生物学における未解決の問題です。ゲノムからの遺伝子発現は主に転写と翻訳という二つの段階からなりますが、これまで転写については細胞種間の違いが詳細に明らかにされてきた一方で、翻訳の多様性についてはその多くが不明でした。 DNAの情報を写し取った(転写した)mRNAは、「タンパク質工場」であるリボソームと結合し、そこでタンパク質が合成されます。東北大学学際科学フロンティア研究所の市之瀬敏晴准教授、生命科学研究科の谷本拓教授らの研究グループは、ショウジョウバエの神経細胞とグリア細胞において、mRNAと結合するリボソームの数を定量することで、mRNAあたりの翻訳効率を細胞種間で比較しました。その結果、神経細胞とグリア細胞で翻訳効率が大きく異なる遺伝子を網羅的に同定することに成功し、特に神経機能に重要な遺伝子はグリア細胞での翻訳効率が極端に低く、その抑制には、上流のタンパク質をコードしない配列(5’UTR)が重要な役割を果たしていることを発見しました。 本研究は、翻訳制御による細胞種多様性の創成メカニズムを明らかにしたといえます。 本成果は7月16日、生物学分野の専門誌eLifeに掲載されました。 図1. 神経機能に重要な遺伝子は、神経細胞では活発に翻訳される一方、グリア細胞では上流非翻訳領域(5’ UTR)でリボソームが停滞し、翻訳が抑制される。 論文情報: タイトル:Translational regulation enhances distinction of cell types in the nervous system 著者:*市之瀬敏晴、近藤周、菅野舞、七野悠一、水戸麻理、岩崎信太郎、*谷本拓 *責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 准教授 市之瀬敏晴、東北大学大学院生命科学研究科 教授 谷本拓 掲載誌:eLife DOI:doi.org/10.7554/eLife.90713 URL: https://elifesciences.org/articles/90713v1 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/08/press20240802-02-mrna.html
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受賞2024.08.01
新領域創成研究部の田原淳士助教 は、メンター部局である薬学研究科にて「令和6年度(第18回)薬学研究科長賞」を受賞しました。 本賞は薬学研究科内の令和5年度の教員活動を踏まえ、「教育活動に優れた貢献があった者」「特に優れた研究を行った者」「外部資金の直接経費と間接経費の合計獲得額が多い者」を表彰するために授与されるものです。 昨年度、一昨年度に引き続き3度目の受賞となりますが、この度は2023年度から本格始動したNEDO委託事業による産学共同研究に対する試みが評価対象とされました。 薬学研究科長賞・研究科長賞: http://www.pharm.tohoku.ac.jp/home/winner/
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会議発表・論文・出版2024.07.30
東京農工大学大学院工学研究院の村岡貴博教授、同大学院工学府の鈴木洸希大学院生、野尻涼矢大学院生(研究実施当時)、徳島大学先端酵素学研究所の齋尾智英教授、松﨑元紀助教、東北大学流体科学研究所の馬渕拓哉准教授、東北大学学際科学フロンティア研究所の奥村正樹准教授、金村進吾助教、石井琴音大学院生、北海道大学大学院先端生命科学研究院附属施設の久米田博之学術専門職の研究グループは、ジスルフィド(SS)結合の形成を伴う酸化的タンパク質フォールディングを、初めて、サブmM(100μM)の高濃度条件で効率的に進める人工分子βCDWSHの開発に成功しました。また、その鍵となる特徴は、従来の超分子化学では注目されてこなかった「寛容的」な分子認識機構であることを突き止めました。 アミノ酸が連結した高分子であるタンパク質は、天然構造と呼ばれる特定の三次元構造を形成することで機能を発現します。変性状態と呼ばれる伸びた高分子鎖が天然構造を形成する過程をタンパク質フォールディングと呼び、分子鎖内での疎水性効果やSS結合形成によって進行します。天然構造とは異なる三次元構造を持つ構造異常タンパク質は、分子間で疎水性効果やSS結合を形成し、凝集する特性があります。そこで、通常の人工系でのフォールディング反応は、タンパク質濃度が数μMと希薄な条件で行うことで凝集を防ぎながら行われます。希薄条件のため収量を上げることが困難であり、合成反応としての効率が低いことが課題でした。 また、生体内での構造異常タンパク質の凝集は、認知症などの神経変性疾患や2型糖尿病などのミスフォールディング病の原因と考えられています。生体内のタンパク質濃度は非常に高いため、生体内環境で構造異常タンパク質の凝集を抑制し、正常な天然構造へ再生するためには、高濃度条件でタンパク質フォールディングを促進する分子材料の開発が重要となります。 本研究では、SS結合形成を伴う酸化的タンパク質フォールディングを、サブmM(100μM)の高濃度条件で促進する初めての人工分子の開発に成功しました。反応濃度の大幅な向上を可能にする本研究成果は、インスリンや抗体医薬など、医薬品タンパク質の合成効率向上や、ミスフォールディング病の予防や治療技術の創出につながる重要な基盤と位置付けられます。 図:a) 「寛容的」な基質認識とタンパク質フォールディングのコンセプト図、b) 本研究で開発した人工フォールディング促進酵素βCDWSH、およびその比較分子βCDNSHの分子構造 論文情報: タイトル:Redox-active chemical chaperones exhibiting promiscuous binding promote oxidative protein folding under condensed sub-millimolar conditions 著者:Koki Suzuki, Ryoya Nojiri, Motonori Matsusaki, Takuya Mabuchi, Shingo Kanemura, Kotone Ishii, Hiroyuki Kumeta, Masaki Okumura, Tomohide Saio, and Takahiro Muraoka 責任著者:村岡貴博、奥村正樹、齋尾智英 掲載誌:Chemical Science DOI: 10.1039/D4SC02123A URL: https://pubs.rsc.org/doi/D4SC02123A プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/07/press20240730-01-protein.html 東京農工大学 https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2024/20240729_01.html 徳島大学 https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/57364.html 科学技術振興機構(JST) https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240729/index.html
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研究会等のお知らせ2024.07.30
日時:2024年8月1日 13:30~14:30 場所:学際科学フロンティア研究所1階セミナー室 講演者:Yang Cao (Hubei University) タイトル:Magnetic and Electric Control of Capacitive Behavior in Granular Solids 概要:Granular solids, composed of discrete particles, offer unique properties crucial for advancements in electronic, magnetic, and dielectric technologies. In this presentation, I will review the recent development of the Tunnel Magneto-Dielectric (TMD) effect, where magnetic fields modulate dielectric properties through tunneling processes. Understanding TMD involves examining the quantum mechanical tunneling of charge carriers and their impact on dielectric behavior. Enhancing TMD response can be achieved through two-dimensional (2D) structures that effectively improve magnetic field sensitivity, and dopant engineering that achieves better performance. Modulating the frequency response of TMD band can be achieved by constructing gradient structures and layered structures. The Tunnel Electro-Magneto-Dielectric (TEMD) effect further integrates electric field modulation, offering insightful understanding of the electric and magnetic control of capacitive behavior, highlighting their potential for transformative applications and innovations in material science.
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お知らせ2024.07.23
令和6年5月25日(土)〜29日(水)、せんだいメディアテーク1Fオープンスクエアにて、学際科学フロンティア研究所新領域創成研究部の波田野悠夏助教が中心となって企画した展示「学際研究で蘇る東北の豪族達」及び併設展示「知の交差点:異分野との出会いから続く未来への道」を開催しました。 企画展示では、異なる分野の専門知識や方法論を組み合わせ、広い視野で新しい知見を見いだす学際研究の1例として、考古学・人類学・遺伝学・理化学的解析といった最新の研究手法を駆使し甦った東北地方の古墳時代の女王や王とされる人物についての波田野助教らの研究成果を紹介しました。具体的には、山形県戸塚山古墳137号墳墓より出土した女性人骨と福島県灰塚山古墳出土の男性人骨と比較し、顔の形の他に遺伝情報や食べていたものなど、二人の共通点をパネルやCG動画などを通して紹介しました。 また、普段は図書館で借りることの難しい遺跡の報告書を自由に読める読書コーナーや、SONY空間ディスプレイなどで骨から顔が出来るまでの立体像や全身フォログラムによる新しい展示技術の紹介、複製された骨の模型や、全身骨を自由に触って観察できるコーナも用意し体験型の展示を目指しました。頭の骨を組み立てられるコーナーでは、特に子供達の関心を引き、家族連れに楽しんでいただきました。 写真1:展示会外観 併設展示では、学際研で毎月行われているHub Meetingの歴代ポスターや、MITテクノロジーレビュー「Innovators Under 35 Japan 2023」を受賞した学際研の阿部博弥准教授の微生物燃料電池、中安祐太助教の再生可能エネルギーデバイスを目指した里山の活動を展示しました。また、「実験室をのぞいてみよう」と題したVR(Virtual Reality)展示として、分野横断型研究環境FRIS CoREの仮想現実体験のコーナーも設けました。最新のデバイス技術により普段若手研究者が過ごしている環境を疑似体験してもらうことが可能となり、FRIS CoREの活動や仕組みを広く知っていただけました。 写真2:併設展示「知の交差点:異分野との出会いから続く未来への道」当日の様子 期間中の土曜日・日曜日・水曜日には、展示企画に関連した学術講演も開催しました。土曜日の講演では50名、日曜日の講演では40名、最終日の水曜日の講演では定員60名に対し満員御礼の講演会となりました。日曜日には、学際研の岡本泰典助教と松林英明助教が司会となり、学際研の若手研究者8名が「なぜ研究者を目指したのか?なぜその研究をしているのか?」をテーマにディスカッションを行いました。市民の方からは、幼少期の生活やノーベル賞についての質問も受け、若手研究者の生態を、笑いを交えながら研究者達がお答えしました。 写真3:学術講演「研究者になるってどんな感じ? -世界を変える仕事への旅人-」の演者(岡本泰典・松林英明・市之瀬敏晴・中安祐太・安井浩太郎・齋藤勇士・波田野悠夏・村越ふみ)。 講演の音声ファイルを公開しています(https://drive.google.com/drive/folders/1k01-cTnbHwnvd7uMRxgJJP1CwC2k0uOU?usp=share_link)。 本展示には全期間で1228名にご来場頂きました。約500名から頂いたアンケート回答のうち、80%の方は学際研を「知らない」としていましたが、そのうちの95%以上から「今回の展示を通して研究所の活動を知るきっかけとなった」との回答をいただきました。 このような展示会は学内の施設で行われることが多いのですが、プラスアルファのアプローチをめざし、仙台市図書館と同一建物内であるせんだいメディアテークでの本展示を開催したことが来場者数に繋がりました。せんだいメディアテークを観光目的で訪れる県外の方々や外国人留学生にも展示をご覧いただけたことも、予想外の成果でした。また、VRや空間ディスプレイによるデジタルを活用した展示は非常に好評で、新しい展示企画を通すことで、広く興味を持っていただけた貴重なケースとなりました。 本展示を通して、学際研にて、どのような若手研究者が日々どのような環境で、どのような研究を行っているのか、活動を広く市民の皆様に知っていただけるような展示になりました。アンケートでは「もっとこのような市民参加型の展示企画や学術講演を増やしてほしい」という声を多数いただきました。今後も研究成果に関する積極的なアウトリーチを目指します。 写真4:VR展示様子「FRIS CoRE ってどういうところ?実験室をのぞいてみよう」