トピックス
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研究会等のお知らせ2025.12.05
ハイブリッド開催 / Hybrid Event 講演者: Johannes Buchner教授(ミュンヘン工科大学) タイトル: 【How molecular chaperones fold proteins】 日時: 【2025年12月8日(月) 15:00~17:30】 場所: 【東北大学 学際科学フロンティア研究所1Fセミナー室 & Zoom】 https://us02web.zoom.us/j/6487649346?omn=89284939309 ミーティング ID: 648 764 9346 主催:学際科学フロンティア研究所
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研究会等のお知らせ2025.12.05
ハイブリッド開催 / Hybrid Event FRIS Hub Meetingは、FRISの研究者全員が参加する研究発表セミナーで、月に一度、8月を除く毎月第4金曜日に開催しています。Hub Meetingの趣旨は、発表者が全領域の研究者を対象として、研究のイントロと分かりやすい専門的内容の紹介を行い、新テーマ創成の芽を作ることです。2021年1月からは世界で活躍できる研究者戦略育成事業「学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS)」のTI-FRIS Hub Meetingと合同で開催しています。 Hub Meetingでは英語での発表を強く推奨しています。異分野研究者同士では共通の常識や考え方は望めません。参加者は発表中にどんどん質問し、討論し、理解を深めるようにしています。Hub Meeting参加対象(下記)の方は積極的にご参加ください。 【TI-FRISは、弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島大学、宮城教育大学によるコンソーシアム事業です。】 第71回 FRIS Hub Meeting(TI-FRIS Hub Meetingとの合同開催) 日時:2025年12月26日(金)16:00- 開催方式:ハイブリッド開催(オンライン/Zoom・学際科学フロンティア研究所セミナー室) Language: English 参加ご希望の方は、事前登録が必要になります。 参加申し込みフォームよりご登録ください。 登録締切:2025年12月25日(木)15:00 発表者: LE Bin Ho 助教 (東北大学学際科学フロンティア研究所 / 情報・システム) 発表タイトル: A century of quantum mechanics and future directions in quantum computing 発表内容の概要: 2025 marks the International Year of Quantum Science and Technology (IYQ). A hundred years have passed since the birth of quantum mechanics, during which we have explored both its profound mysteries and its applications to modern technology. In this talk, I will look back on the development of quantum mechanics and introduce the innovations and potential of quantum computing that have emerged from it. Furthermore, through my own research in quantum computing, quantum measurement and metrology, and quantum AI, I will discuss how these fields are shaping the future of quantum science. This talk is dedicated to activities celebrating the “Quantum Year 2025.” Hub Meeting参加者 趣旨と守秘義務を理解・了解していることを条件に、以下の方が参加できます。 Hub Meetingメンバー 発表のターゲットとする参加者、アーカイブ視聴対象 ・東北大学学際科学フロンティア研究所教員 ・TI-FRISフェロー オブザーバー Hub Meetingに興味のある下記の参加者(質問・議論にも参加することができます) ・東北大学学際高等研究教育院研究教育院生 ・東北大学教職員・学生 ・TI-FRIS参画大学教職員・学生 ・TI-FRIS関係者(委員会委員等) ・「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の育成対象者 ・学際研所長/TI-FRISプログラムマネージャーが認めたもの ◆FRIS Hub Meetingについて
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受賞2025.12.01
新領域創成研究部の許勝助教が、日本中性子科学会『日本中性子科学会奨励賞』を受賞しました。 本賞は、中性子科学に関して優秀な研究を発表し,その年齢が当該年の4月1日において40歳に達しない者に対して授与されます。 受賞対象の研究テーマ: 許勝助教「その場中性子回折を用いた単結晶弾性・超弾性合金の研究」 https://www.jsns.net/award
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受賞2025.11.27
新領域創成研究部の許勝助教が、MITテクノロジーレビュー[日本版]主催のアワード「Innovators Under 35 Japan 2025」において、未来を創る35歳未満のイノベーターに選出されました。 許勝助教:−269℃の極低温でも安定して機能。宇宙探査を支える新合金を開発 許勝助教は、極限環境である宇宙環境にも適応する「次世代宇宙材料」の研究を行っています。許勝助教が開発した−269℃の極低温から室温を超える領域で安定して機能する「チタン・アルミニウム・クロム(Ti–Al–Cr)系超弾性合金」は、宇宙空間や月・火星表面のような極低温・過酷環境下において、従来の金属では困難だった柔軟な変形と形状の自己回復性を世界で初めて実現しました。 「Innovators Under 35」は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディア部門「MITテクノロジーレビュー」が主催する国際アワードです。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る、独創的で才能ある35才未満の若きイノベーターの発掘を目的とし、過去にはGoogle共同創業者のセルゲイ・ブリン氏、Facebook共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏も受賞するなど、国際的に権威あるアワードとして高く評価されています。 「Innovators Under 35 Japan」はその日本版にあたり、今年で6回目の開催となります。本年度は「コンピューター/電子機器」「ソフトウェア」「インターネット」「通信」「AI/ロボット工学」「輸送/宇宙開発」「エネルギー/持続可能性」「医学/生物工学」の全8分野において、厳正な審査を経て10人が受賞者として選出されました。なお、日本版の受賞者は次年度のグローバル版の候補者としてノミネートされます。 2025年12月17日(水)には、KADOKAWA 神楽座(東京・飯田橋)にて、受賞者を紹介する「Innovators Under 35 Japan Summit 2025 」が開催され、許助教も登壇する予定です。本イベントの模様はオンラインでも配信されます。 Innovators Under 35 Japan https://techreviewjp.com/iu35/2025/winners MITテクノロジーレビュー https://www.technologyreview.jp/ 「Innovators Under 35 Japan 2025」に選出された許勝助教
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会議発表・論文・出版2025.11.25
学際科学フロンティア研究所の翁岳暄准教授(九州大学高等研究院稲盛フロンティアプログラム(クロスアポイントメント))が分担執筆者を務めたSpringer PBLIシーリスの新書『Generative AI, Contracts, Law and Design』が刊行されました(章のタイトル:Proactive Privacy Communication Design for Emotional Robots)。 本書は、生成型AIとデザインが、法律、法的コミュニケーション、そして契約をどのように変革し、自動化を超えて協働と有意義な成果へと向かわせているかを探ります。理論と実践を融合させ、プライバシー、コミュニケーション、経済的幸福、責任あるAIの利用、契約言語といった課題に取り組みます。本書の主眼は、生成型AIとデザインが、法律、法的コミュニケーション、そして契約における変革の触媒としてどのように機能しているかを探る、新たな境地を切り開きます。両者は共に、私たちの思考と行動を変革し、自動化を超えて協働、実行可能性、そして目標達成へと向かわせます。理論的な洞察と実践的な実験を融合させた本書は、法律、ビジネス、テクノロジー、そしてデザインの交差点で活躍する学者や実務家による寄稿を特集しています。 出版社:Springer Singapore 書名: Springer PLBI Series: Generative AI, Contracts, Law and Design 発行日:2025年11月 体裁:ハードカバー ISBN: 978-981-95-2057-2 https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-981-95-2058-9_7
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研究会等のお知らせ2025.11.20
オンライン開催 日時 / Day & Time 2025年11月26日(水)13:30~ November 26 (Wed.) 1:30 p.m.- 場所 / Venue 《オンライン/Online》 教育院生及び学際研関係者の方は申込不要です。 口頭発表者 / Oral Presenters 水出 敦也「分子クラスターが解き明かすミクロな世界の相互作用」 The Science of Molecular Interactions 菊地 渉「植物の栄養研究から未来のコメをつくる!」 Creating future-rice from researches of plant nutrition 向笠 紘平「相転移現象をどう記述するか:平均場近似に注目して」 How Do We Describe Phase Transitions? — A Focus on Mean-Field Approximation なお、プログラムの時間配分は変更する場合がありますので、予めご了承下さい。 抄録集.pdf 問い合わせ先 学際高等研究教育院 総合戦略研究教育企画室 @ ■全領域合同研究交流会について
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お知らせ2025.11.18
2025年11月5日から7日にかけて、九州大学高等研究院(IAS)と東北大学学際科学フロンティア研究所(FRIS)の主催と国立台湾大学人文情報学研究センター、オスロ大学先端ロボティクス研究グループ(ROBIN)、九州大学法学府国際関係法専攻、東北大学工学研究科平田研究室の共催より、「ソーシャルロボットと倫理的なデザイン」をテーマとするシンポジウムが青葉山キャンパスで開催されました。本イベントはハイブリッド形式で行われ、工学・デザイン・倫理・法・社会科学の研究者が参加し、AI搭載型ソーシャルロボットがもたらす設計・倫理・ガバナンスの課題を多角的に検討しました。ソーシャルロボットを技術・行動・規範が相互作用する「社会技術システム」として捉え、開発初期段階から統合的視点を取り入れる必要性を重視する基本的な姿勢が強調されました。 第一のテーマであるロボットのデザインと実装では、オスロ大学先端ロボティクス研究グループJim Torresen教授は、実生活環境での利用を想定した研究が紹介されました。東北大学工学研究科平田泰久教授は、生活空間を模したリビングラボで支援ロボットとの日常的相互作用を評価する取り組みを紹介しました。国立台湾大学工学部機械工学科Jia-Yang Juang(莊嘉揚)教授・学科長は、柔軟素材を用いたソフトロボティクスや適応的移動機構による人間環境への適応性向上を報告しました。また、国立台湾大学工学部機械工学科Ying-Yin Huang(黃瀅瑛)准教授は、視覚的複雑性や親しみやすさが利用者の安心感や注意に影響するとの知見を示し、安全・共感・信頼を高めるデザインの重要性が指摘しました。 第二のテーマでは、HRIの行動・認知面を扱い、受容・拒否・社会的摩擦といった感情反応の発生要因を分析しました。国立台湾大学人文情報学研究センターHsiu-Ping Yueh(岳修平)主幹教授・センター長とWeijane Lin(林維真)教授・副センター長は、ゲームベースの実験では、ロボットが人間の道徳的判断に影響する可能性を示し、また東北大学工学研究科平田研究室Zonghao Dong特任助教からは、犬型ロボットの擬人化に対する社会的受容に関する研究も報告されました。ノースフロリダ大学人文情報学研究センターJoshua C. Gellers教授・センター長は、SFやデジタルゲームの文化的ナラティブが、ロボットの規範形成や社会的想像力に影響を及ぼす点について議論しました。 第三の政策・ガバナンス領域では、国立台湾大学研究倫理センターPeishan Yang(楊培珊)教授・センター長とライデン大学法とデジタルテクノロジー学際研究センターEduard Fosch-Villaronga准教授が、高齢化社会におけるロボットの役割やケア技術に求められる人間中心アプローチを論じました。体系的レビューやステークホルダー協議が包摂的なガバナンス形成に寄与すること、さらにヤギェウォ大学法学部刑法学科Kamil Mamak准教授からは「責任の空白(responsibility gaps)」問題が依然として重要課題であることが示されました。 第四の倫理的デザイン・ガバナンスでは、法規制を補完する非拘束的倫理基準の有効性が強調されました。IEEE SSIT標準委員会Ruth Lewis委員長は、IEEEを中心とする国際標準が工学実務に浸透しつつある現状を分析され、オスロ大学先端ロボティクス研究グループDiana Saplacan Lindblom博士研究員は、日本とノルウェー比較研究からは同意・プライバシー・社会的受容に関する文化差が示されたと報告しました。九州大学高等研究院と東北大学学際科学フロンティア研究所Yueh-Hsuan Weng(翁岳暄)クロアポ准教授は、哲学的考察と実証研究を統合した倫理方法論の必要性を提起しました。 総じて、責任あるロボティクスには学際的協働が不可欠であり、技術革新だけでは社会的課題に対応できないことが再確認されました。産業ロボット中心から生活環境に組み込まれる社会的ロボットへの研究転換が進む中、デザイン主導型ガバナンスの重要性が強調して報告されました。 本シンポジウムは次回、2026年秋頃に九州大学伊都キャンパス稲盛財団記念館(稲盛ホール)にて開催予定です。引き続きご注目ください。
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会議発表・論文・出版2025.11.14
交替磁性体は全体としての磁化がゼロでありながら、スピンの分極した電子バンドを持つため、スピントロニクス材料として注目されています。交替磁性体の代表例であるMnTeにおいては従来技術では識別が難しい結晶構造の対称性に由来する磁区の存在が詳細な電子状態解明の障害となっていました。 東北大学学際科学フロンティア研究所の鈴木博人助教らの研究グループは、早稲田大学先進理工学部の武上大介博士研究員、大阪公立大学大学院工学研究科の播木敦准教授らとの共同研究により、円偏光を用いた共鳴非弾性X線散乱(RIXS)による新たな磁区識別法を開発しました。本研究では、右・左回り円偏光の散乱強度の差である円二色性(RIXS-CD)を高精度で検出することで、従来の手法では識別できなかった結晶対称性由来の磁区を区別することに成功しました。今回開発した手法は、スピントロニクス材料の物性解明に寄与することが期待されます。 この研究成果は、米国物理学会が発行する学術誌Physical Review Lettersに2025年11月6日付で掲載されました。また注目論文として、同学会のPhysics Magazine誌で紹介されました。 図:交替磁性体MnTeに対する円偏光を用いた共鳴非弾性X線散乱の概念図。左・右回り円偏光を持つX線をMnTe単結晶の面直方向から入射し、散乱されたX線の強度の差である円二色性を計測する。様々な面内角度で散乱X線強度を観測することで、MnTeの磁区を識別する。 【論文情報】 タイトル:Circular Dichroism in Resonant Inelastic X-ray Scattering: Probing Altermagnetic Domains in MnTe 著者:D. Takegami, T. Aoyama, T. Okauchi, T. Yamaguchi, S. Tippireddy, S. Agrestini, M. Garcia-Fernandez, T. Mizokawa, K. Ohgushi, Ke-Jin Zhou, J. Chaloupka, *J. Kunes, *A. Hariki, and *H. Suzuki *責任著者:Masaryk University Professor Jan Kunes *責任著者:大阪公立大学 准教授 播木敦 *責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 鈴木博人 掲載誌:Physical Review Letters DOI:10.1103/512v-n5f9 URL:https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/512v-n5f9 (参考)Physics Magazine誌での紹介記事 タイトル:Mapping Altermagnetic Domains URL:https://physics.aps.org/articles/v18/s145 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/11/press20251114-01-MnTe.html 東北大学 多元物質科学研究所 https://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/news_press/20251114_mnte/ 東北大学 大学院理学研究科 https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20251114-13990.html 大阪公立大学 https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-20885.html
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会議発表・論文・出版2025.11.12
細胞内におけるタンパク質品質管理の破綻は多くの疾患を引き起こします。東北大学学際科学フロンティア研究所、大学院生命科学研究科(兼務)の奥村正樹准教授(国際卓越研究者:ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー)らの研究グループは、日韓英の17研究グループによる国際共同研究により、小胞体内に局在しカルシウム依存的に相分離するPDIA6が、その区画内での未成熟インスリンの凝集形成を抑える役割を果たしていることを見いだしました。この発見は、これまで一様と考えられてきた小胞体内が区画化されているという概念変革を与えるものです。 PDIA6の相分離によるタンパク質品質管理機構に対する理解が深まったことで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や糖尿病などの成因解明や、革新的治療法開発の加速が期待されます。 本成果は、2025年11月11日にNature Cell Biologyのオンライン速報版で公開され、同誌の表紙に選出されています。 なお、本成果は、東北大学大学院生命科学研究科の渡部マイ大学院生、倉持円来大学院生、学際科学フロンティア研究所の金村進吾助教、韓国基礎科学支援研究院のLee Young-Ho教授、Lin Yuxi研究員、徳島大学先端酵素学研究所の齋尾智英教授、松﨑元紀助教、立命館大学生命科学部の萬年太郎助教、関西学院大学生命環境学部の鎌田優香助教らとの共同研究によるものです。 図. カルシウム依存的なPDIA6の集合化(相分離) 上図:試験管内実験によるPDIA6の「相分離」現象の発見:PDIA6溶液へのカルシウムの添加によって集合体(液滴)を形成。 下図:細胞内小器官のひとつである小胞体内で観測されたPDIA6の液滴:PDIA6が単体だけでなく集合体としても存在することを世界で初めて発見。 【論文情報】 タイトル:Ca2+-driven PDIA6 biomolecular condensation ensures proinsulin folding (プロインスリンのフォールディングを保証するカルシウム駆動型PDIA6相分離) 著者: *#Young-Ho Lee, *#Tomohide Saio, #Mai Watabe, #Motonori Matsusaki, #Shingo Kanemura, #Yuxi Lin, #Taro Mannen, #Tsubura Kuramochi, #Yuka Kamada, Katsuya Iuchi, Michiko Tajiri, Kotono Suzuki, Yan Li, Yunseok Heo, Kotone Ishii, Kenta Arai, Kazunori Ban, Mayuko Hashimoto, Shuichiro Oshita, Satoshi Ninagawa, Yoshikazu Hattori, Hiroyuki Kumeta, Airu Takeuchi, Shinji Kajimoto, Hiroya Abe, Eiichiro Mori, Takahiro Muraoka, Takakazu Nakabayashi, Satoko Akashi, Tsukasa Okiyoneda, Michele Vendruscolo, Kenji Inaba, and *Masaki Okumura. #共同筆頭著者 *責任著者: 東北大学 学際科学フロンティア研究所(兼)大学院生命科学研究科 動的構造生化学分野 准教授(国際卓越研究者:ディスティングイッシュトアソシエイトプロフェッサー) 奥村 正樹 掲載誌:Nature Cell Biology DOI:10.1038/s41556-025-01794-8 URL:https://www.nature.com/articles/s41556-025-01794-8 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/11/press20251112-01-PDI.html 東北大学生命科学研究科 https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/results/detail---id-52914.html 徳島大学 https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/65634.html
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会議発表・論文・出版2025.11.11
物体の変形(ひずみ)を電気信号として検出するひずみゲージは、土木や医療など非常に多くの分野で利用されています。ひずみゲージの高感度化・小型化・省電力化はIoT社会の高度化にとって重要な課題です。 東北大学学際科学フロンティア研究所の増本博教授らの研究グループは、電磁材料研究所、東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)、理化学研究所との共同研究により、金属ナノ粒子が絶縁体中に分散したナノグラニュラー材料が、現在広く利用されている金属箔ひずみゲージと比べ、約5倍の大きいゲージ率と約107倍の高い電気抵抗率を示すことを発見しました。また、この大きいゲージ率が、ナノ粒子間で起こる電子のトンネル伝導と、ひずみによるナノ複合構造の変化に起因することを明らかにしました。 この新しい材料を用いることで、省電力かつひずみ受感部が1/10000以下に小型化された高感度ひずみゲージを作製できます。ひずみゲージを集積化することで高密度な力学情報の検出が可能になります。これにより、ロボティクスで人間に近いきめ細やかな動作制御が可能になるなど、新たな有用な用途が開発されることが期待できます。 本成果は2025年11月10日付で科学誌Scientific Reportsに掲載されました。 図: a:Co26Mg18F56ナノグラニュラー薄膜の高分解能透過電子顕微鏡像。暗い粒子状の部分がCoナノ粒子で、明るい部分がMgF2マトリックスです。 b:ナノグラニュラー薄膜中での電子のトンネル伝導の模式図。電子は絶縁体をトンネルすることでナノ粒子間を伝導します。 c:ナノグラニュラー薄膜に引張ひずみを加えたときの微細構造変化の模式図。図中のsは粒子間距離、dは粒子径です。s0とd0はひずみが加わっていないときの粒子間距離と粒径です。ナノ粒子(d)は変形せず、ナノ粒子間のマトリックス(s)のみが変形することで、大きな電気抵抗の変化が起きます。 【論文情報】 タイトル:High-sensitive mechanical response in metal–insulator nanogranular films with large gauge factor 著者:Tomoharu Uchiyama, Wang Chen, Yui Hasegawa, Nobukiyo Kobayashi, Hiroshi Masumoto*, Saburo Takahashi, Sadamichi Maekawa *責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 教授 増本博 掲載誌:Scientific Reports DOI:10.1038/s41598-025-24084-7 URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-24084-7 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/11/press20251111-01-nanogranular.html 東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR) https://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jp/achievements/press/2025/20251111_002071.html 東北大学 大学院工学研究科 https://www.eng.tohoku.ac.jp/news/detail-,-id,3393.html 電磁材料研究所 https://www.denjiken.or.jp/news/pdf/20251111.pdf 理化学研究所 https://www.riken.jp/press/2025/20251111_1/index.html