トピックス
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会議発表・論文・出版2026.02.16
東北大学学際科学フロンティア研究所の藤原英明特任准教授は、1996~2024年に出版された天文学・天体物理学分野の主要学術誌の研究論文を対象に、書誌情報データベースに基づいて学術的影響を定量的に分析した研究成果を発表しました。 本研究では、書誌情報データベースScopus/SciValから取得した論文数や被引用数などの主要指標を年次で分析しました。その結果、天文学・天体物理学分野の論文は平均的に、出版から約2~4年で引用が増加し、その後も約10年程度にわたって引用され続けるという、知識利用のタイムスケールが示されました。 研究成果の学術的インパクトは被引用数に基づく指標で評価されることがありますが、本研究は、短期間の被引用指標のみで評価する際には限界があり、慎重な解釈が必要であることを示唆します。 本研究成果は、2026年1月28日付で学術誌 Publications of the Astronomical Society of Japan に掲載されました。 論文情報: タイトル:Bibliometric benchmarking across astronomy journals: Knowledge–use cycle and PASJ in the global landscape 著者:Hideaki Fujiwara* *責任著者:東北大学 学際科学フロンティア研究所 特任准教授 藤原英明 掲載誌:Publications of the Astronomical Society of Japan DOI:10.1093/pasj/psaf149 URL:https://academic.oup.com/pasj/advance-article/doi/10.1093/pasj/psaf149/8442979
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会議発表・論文・出版2026.02.10
テトロドトキシン(TTX)は、強力かつ選択的な電位依存性ナトリウムチャネル阻害剤であり、フグ毒としても知られる代表的な自然毒の一つです。フグをはじめとする多様な海洋生物に加え、陸棲両生類であるイモリにも含まれています。類を見ない複雑な化学構造、致死性食中毒を引き起こす強力な生理活性、そして広範な生物種に分布するという特徴から、有機化学・生物学・食品衛生学・化学生態学・神経科学など多分野で研究されてきましたが、その起源や生合成経路については長年にわたり未解明のままでした。 今回、東北大学学際科学フロンティア研究所の工藤雄大准教授は、同大学院農学研究科の堀江周吾学部生、山下まり教授、ならびにユタ州立大学のHanifin准教授との国際共同研究により、有毒イモリから5種の新規テトロドトキシン類縁体を発見し、その化学構造を明らかにしました。酸化度や立体配置の異なる複数の類縁体を同定したことで、陸上環境におけるテトロドトキシンの生合成経路を推定しました。さらに、これら新規類縁体の電位依存性ナトリウムチャネルに対する阻害活性を評価し、構造活性相関に関する新たな知見も得られました。 本研究成果は、アメリカ化学会(ACS)発行の学術誌「Journal of Natural Products」に2026年2月4日付でオンライン公開されました。本論文は、東北大学のオープンアクセス推進のためのAPC支援事業によりオープンアクセスとして公開されています。 論文情報: タイトル:Identification of Deoxy- and epi-Tetrodotoxin Analogues from the Newt Cynops ensicauda popei Suggests Stepwise Oxidation in Terrestrial Tetrodotoxin Biosynthesis 著者:Shugo Horie, Charles T. Hanifin, Yuko Cho, Keiichi Konoki, Mari Yotsu-Yamashita, and Yuta Kudo* (*corresponding author責任著者) 掲載誌:Journal of Natural Products DOI: 10.1021/acs.jnatprod.5c01546 URL: https://doi.org/10.1021/acs.jnatprod.5c01546 図:新規テトロドトキシン絶縁体(2-6)を同定することで後期生合成経路を推定
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受賞2026.02.10
新領域創成研究部の松平泉助教および久我奈穂子助教が、第9回 東北大学紫千代萩賞を受賞することが決定しました。また受賞にあたり、国際女性デーを記念したイベントとして開催される受賞講演会で、松平助教、久我助教が受賞講演を行います。 本賞は、東北大学において優れた研究を展開する若手女性研究者に対し、その活躍を讃えることで、研究意欲の一層の増進に繋げ、世界トップリーダーとなるような研究人材の育成を目的とするものです。 受賞日:2026年3月10日 第9回東北大学紫千代萩賞受賞講演会 https://dei.tohoku.ac.jp/news_topics/event/p/48877/ 東北大学DEI推進センター 2025年度 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」受賞者決定 https://dei.tohoku.ac.jp/news_topics/news/p/48886/ 東北大学優秀女性研究者賞「紫千代萩賞」 https://dei.tohoku.ac.jp/kensho/murasaki_sendai_hagi_award/
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会議発表・論文・出版2026.02.09
近年、データ駆動型人工知能(AI)は、新しい材料探索を効率よく行うことができる技術として注目されています。しかし、材料研究の重要な実験データは、論文中の図に画像化された状態で存在することが多く、有効に利用することが難しい状況でした。 東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の李昊(Hao Li)教授、折茂慎一 所長(同大学金属材料研究所 教授)、東京大学大学院工学系研究科の佐藤龍平助教らの研究チームは、科学論文中の図表から実験データを体系的に読み取り、科学的に解釈した上で構造化できるマルチエージェントAIワークフローDIVEを開発しました。さらに、水素貯蔵材料を対象に、DIVEを用いて4,000報以上の文献から30,000件を超えるデータを抽出し、コンピューター処理可能なデータベースとして整備することで、約2分という短時間で水素貯蔵のための新しい候補材料を提案することができる逆設計ワークフローを確立しました。これにより図表に閉じ込められていた科学データを有効に利活用することで、AI駆動型の材料探索が加速することが期待できます。 本研究成果は、2026年2月3日(現地時間)に学術誌Chemical Science誌に掲載されました。本研究には学際科学フロンティア研究所新領域創成研究部のLinda Zhang助教とナノ材料プロセスデータ科学寄附研究部門の橋本佑介特任准教授が参加しています。 図:DIVEのマルチエージェントワークフロー(右上)と従来手法(左上)の比較、および水素貯蔵材料データベースにおける収集文献の分布(下)。 【論文情報】 タイトル:"DIVE" into Hydrogen Storage Materials Discovery with AI Agents 著者:Di Zhang*,Xue Jia,Tran Ba Hung,Seong Hoon Jang,Linda Zhang,Ryuhei Sato,Yusuke Hashimoto,Toyoto Sato,Kiyoe Konno,Shin-ichi Orimo*,Hao Li* *責任著者:東北大学 材料科学高等研究所 教授 李 昊(Hao Li) 東北大学 材料科学高等研究所 所長 折茂 慎一 掲載誌:Chemical Science DOI:10.1039/d5sc09921h プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/02/press20260204-01-DIVE.html 材料科学高等研究所(WPI-AIMR) https://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jp/achievements/press/2026/20260204_002126.html 流体科学研究所 https://www.ifs.tohoku.ac.jp/jpn/news/6482/
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研究会等のお知らせ2026.02.06
ハイブリッド開催 / Hybrid Event FRIS Hub Meetingは、FRISの研究者全員が参加する研究発表セミナーで、月に一度、8月を除く毎月第4金曜日に開催しています。Hub Meetingの趣旨は、発表者が全領域の研究者を対象として、研究のイントロと分かりやすい専門的内容の紹介を行い、新テーマ創成の芽を作ることです。2021年1月からは世界で活躍できる研究者戦略育成事業「学際融合グローバル研究者育成東北イニシアティブ(TI-FRIS)」のTI-FRIS Hub Meetingと合同で開催しています。 Hub Meetingでは英語での発表を強く推奨しています。異分野研究者同士では共通の常識や考え方は望めません。参加者は発表中にどんどん質問し、討論し、理解を深めるようにしています。Hub Meeting参加対象(下記)の方は積極的にご参加ください。 【TI-FRISは、弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、福島大学、宮城教育大学によるコンソーシアム事業です。】 第73回 FRIS Hub Meeting(TI-FRIS Hub Meetingとの合同開催) 日時:2026年2月26日 (木)16:00- ※都合により開催曜日が変更となっております。ご了承ください。 開催方式:ハイブリッド開催(オンライン/Zoom・学際科学フロンティア研究所セミナー室) Language: English 参加ご希望の方は、事前登録が必要になります。 参加申し込みフォームよりご登録ください。 登録締切:2026年2月25日(水)15:00 発表者: 平本 薫 助教 (東北大学学際科学フロンティア研究所/デバイス・テクノロジー) 発表タイトル: 生命科学のための微小電流センサ開発 / Exploring Microcurrent Sensors for Life Science Applications 発表内容の概要: 細胞やDNA、タンパク質がどのようにふるまい変化するかをリアルタイムにとらえることは、病気の早期発見や新しい治療法の開発に欠かせません。微小電流センサは、細胞の分泌物や生体液中の生体分子の存在を、わずかな電流変化によって検出し、標識なしで迅速に測定できる技術です。生命現象の基盤的理解を深めるだけでなく、高感度で迅速な診断への応用に向けて技術開発が進められています。本講演では、微小電流センサの最新の進展と、臨床応用に向けた課題について議論します。 Real-time detection of how individual cells, DNA, and proteins behave and change is essential for early disease detection and the development of new therapies. Microcurrent sensors can capture subtle electrical signals that indicate the presence of biomolecules in cell secretions or biological fluids, offering label-free and rapid measurements. These sensors not only deepen our understanding of fundamental life science phenomena but also show promise for highly sensitive and quick diagnostic applications. This talk provides an overview of recent advances in microcurrent sensor development and discusses remaining challenges toward clinical use. Hub Meeting参加者 趣旨と守秘義務を理解・了解していることを条件に、以下の方が参加できます。 Hub Meetingメンバー 発表のターゲットとする参加者、アーカイブ視聴対象 ・東北大学学際科学フロンティア研究所教員 ・TI-FRISフェロー オブザーバー Hub Meetingに興味のある下記の参加者(質問・議論にも参加することができます) ・東北大学学際高等研究教育院研究教育院生 ・東北大学教職員・学生 ・TI-FRIS参画大学教職員・学生 ・TI-FRIS関係者(委員会委員等) ・「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」の育成対象者 ・学際研所長/TI-FRISプログラムマネージャーが認めたもの ◆FRIS Hub Meetingについて
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会議発表・論文・出版2026.02.03
3D培養モデル(スフェロイドやオルガノイド)は、より生体に近い環境を再現できる一方で、酸化ストレスなどの酸化還元(レドックス)反応を空間的に可視化することは容易ではありません。特に、細胞周囲で生じる過酸化水素(H2O2)などのレドックス分子の動態を、時間と位置の両方の情報として捉える技術が求められています。 東北大学学際科学フロンティア研究所の阿部博弥准教授らの研究グループは、同大学工学研究科、医工学研究科、東京科学大学、東京理科大学、University of Electronic Science and Technology of China (中国)、The Chinese University of Hong Kong, Shenzhen (中国)との共同研究により、ヘマタイト(酸化鉄)を用いた光アドレス電極による新しい光電気化学バイオイメージング手法を提案し、腫瘍スフェロイド周辺に形成されるH2O2濃度勾配を可視化できることを示しました。本研究は、光合成のように「光を使って化学反応を動かす」という発想をヒントに、光で電気化学信号を生み出して化学情報を可視化する手法です。本手法は、可視光照射によって電極上にファラデー電流(光電流)を局所的に発生させ、その信号強度と照射位置の関係から化学情報をマッピングします。また、電極作製にフォトリソグラフィ等の複雑なプロセスを必要とせず、比較的簡便な製造工程で実現できる点も特長です。 本成果により、3D細胞モデルを対象とした酸化ストレス評価や、レドックス分子の時間依存的な化学マッピングが可能になり、3D培養を用いた薬剤評価・細胞機能解析などへの応用が期待されます。 図:ヘマタイト(Fe2O3)を用いた光触媒電極に対し、可視光を局所照射することでファラデー光電流を発生させ、その信号強度と照射位置の関係から電気化学イメージを取得する方法を構築。3D細胞モデル(腫瘍スフェロイド)周辺のH2O2などのレドックス分子の分布を空間的にマッピングする光電気化学バイオイメージングに成功。 論文情報: タイトル:Photoelectrochemical Bioimaging of Redox Events for 3D Cultured Cells via Hematite-Based Light-Addressable Electrodes 著者:Tomoyuki Ogawa, Ryo Yamatake, Yusuke Kanno, Takasi Nisisako, Yuvaraj M. Hunge, Kosuke Ino, Shan Liu, Chen-Zhong Li, Tatsuo Yoshinobu, Hitoshi Shiku, Hiroya Abe* *責任著者:東北大学 学際科学フロンティア研究所 准教授 阿部博弥 掲載誌:Biosensors and Bioelectronics DOI:10.1016/j.bios.2026.118414 URL:https://doi.org/10.1016/j.bios.2026.118414
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会議発表・論文・出版2026.01.29
東北大学 学際科学フロンティア研究所 才田淳治教授と金属材料研究所 山田 類助教、韓国 Kumoh National Institute of TechnologyのRyu Wook Ha助教らの共同研究グループは、Zr50Cu40Al10バルク金属ガラスにおいて、テフロンテープを介した圧縮変形時には脆性的な緩和状態であっても塑性変形性が著しく向上することを見出した。この特異現象をデジタル画像相関法(DIC)および有限要素法(FEM)によって解析した結果、試料内に発生した不均一応力状態が複数のせん断帯の発生を誘発していることを明らかにした。本成果は、一般には塑性変形性に乏しい材料として知られる金属ガラスの延性化の可能性を示しており、今後の同材料の工業的応用に有用な知見を与えるものと考えられます。 本研究は、科学研究費補助金 基盤研究A(18H03829および23H00228)、基盤研究C(21K04899)および学際科学フロンティア研究所 「学際研究促進プログラム」の支援を得て行われました。 論文情報: タイトル:Reduction of lateral constrain leads to plasticity in metallic glasses 著者:Rui Yamada, Keisuke Tabaru, Ryota Maeda, Wook Ha Ryu, Junji Saida 掲載誌:Scripta Materialia 276 (2026) 117165 DOI: doi.org/10.1016/j.scriptamat.2026.117165
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研究会等のお知らせ2026.01.22
対面開催(一部オンライン) 日時 / Day & Time 2026年1月30日(金)13:30~ January 30 (Fri.) 1:30 p.m.- 場所 / Venue 《オンサイト/Onsite》 学際科学フロンティア研究所 セミナー室 Frontier Research Institute for Interdisciplinary Sciences seminar room 《オンライン/Online》 ※口頭発表のみ参加可能です。Oral presentation only 教育院生及び学際研関係者の方は申込不要です。 口頭発表者 1.長岡 正朗 「核小体RNA解析に向けたイメージング技術の開発」 Development of Imaging Techniques for Nucleolar RNA Analysis 2.山田 はるか「介護現場における方言不理解の問題-介護関係者への調査を通して-」 The Problem of Dialect Misunderstanding in the Nursing Care Field: Through a survey of care workers 3.湯澤 浩「細胞からの手紙を選り分ける?-エクソソーム分離で挑むがんの早期診断-」 Size-Selective Separation of Exosomes for Early Cancer Detection なお、プログラムの時間配分は変更する場合がありますので、予めご了承下さい。 抄録集.pdf 問い合わせ先 学際高等研究教育院 総合戦略研究教育企画室 @ ■全領域合同研究交流会について
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会議発表・論文・出版2026.01.22
多くの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数百億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールが存在します。ブラックホールは周囲の物質を吸い込んで成長し、その過程で強い光を放ちます。ブラックホールの周りには、ガスが円盤状に回り込む構造(降着円盤)や、より内側の高温ガス領域、さらに一部の物質が高速で噴き出す「ジェット」が形成されます。そのため、可視光や紫外線、X線、電波など、さまざまな種類の光で観測されます。特に明るいものは「クエーサー」と呼ばれますが、こうした天体がどのように成長し、その母銀河の成長とどのように関連しているのかは、いまだ大きな謎です。 早稲田大学の小渕紗希子 大学院生、東北大学学際科学フロンティア研究所の市川幸平准教授を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡を用いて初期宇宙のクエーサー周囲のガスの運動を調べ、今から約120億年前の超巨大ブラックホールの質量を高い精度で測定しました。質量とX線での明るさから推定されるこのブラックホールの成長率はとても高く、これまでに観測された同程度の質量を持つ超巨大ブラックホールの中では最も急速に成長していることが分かりました。 図:超巨大ブラックホールの想像図。中心のブラックホールにガスが降着し、降着円盤やジェットを形成している。(クレジット:NASA/JPL-Caltech)。 特筆すべきは、このクエーサーがX線でも電波でも明るく輝いていることです。急速に成長するブラックホールでは、高温ガス領域が効率的に冷やされるためX線が弱くなり、電波で観測されるジェットも目立たなくなるとこれまでは考えられていました。しかしこの天体はX線と電波の双方で明るいことから、従来は想定されていなかった特異なメカニズムが隠されている可能性があります。研究チームは、極めて明るいX線が観測された理由として、超巨大ブラックホールの成長の勢いが変化している可能性を提唱しています。初期宇宙で超巨大ブラックホールの成長が変動を伴いながら進行する過程を初めて捉えたことになります。また、電波での明るさは、このクエーサーが、母銀河での星生成を抑制しうるほどの極めて激しいジェットを放出していることを示しています。今回の発見は、初期宇宙において母銀河と中心の超巨大ブラックホールがどのように影響し合いながら成長するのかを理解する上で、重要な手がかりになるでしょう。 論文の主著者の小渕さんは、「今回の発見は、これまで困難とされていた初期宇宙における超巨大ブラックホールの形成過程を解明することに繋がるかもしれません。今後、このクエーサーにおけるX線や電波の放射機構を探るとともに、まだ見つかっていない類似天体が存在しているのかどうかについても明らかにしていきたいです」と展望を語っています。 本研究成果は、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に 2026年1月21日付で掲載されました。 【論文情報】 タイトル:Discovery of an X-ray Luminous Radio-Loud Quasar at z = 3.4: A Possible Transitional Super-Eddington Phase 著者:Sakiko Obuchi et al. 掲載誌:The Astrophysical Journal DOI:10.3847/1538-4357/ae1d6d URL:https://doi.org/10.3847/1538-4357/ae1d6d プレスリリース: 国立天文台 https://www.nao.ac.jp/news/science/2026/20260122-subaru.html
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会議発表・論文・出版2026.01.21
柔らかく安全に動作するアクチュエータは、ソフトロボティクスやウェアラブルデバイスなど、次世代の人間共存型技術において重要な役割を担っています。しかし、従来のアクチュエータの多くは金属材料を用いており、高い剛性や動作自由度の制限、複雑な駆動系が課題となっていました。 東北大学学際科学フロンティア研究所・大学院医工学研究科の郭媛元准教授、ならびに工学部 機械知能・航空工学科の秋元有斗学部生(学際科学フロンティア研究所ジュニアリサーチャー)を中心とし、フランスINSA Lyon MatéIS研究所、および日仏ジョイントラボラトリー(ELyTMaX)との国際共同研究チームは、光ファイバ製造に用いられる熱延伸技術を応用することで、電圧をかけるだけで曲がり・収縮・三次元的に動作するポリマー製の超細径ソフトファイバアクチュエータの開発に成功しました。本デバイスは、髪の毛ほどの細さでありながら高い柔軟性と多自由度の動作を実現しており、身体に寄り添うソフトロボットやウェアラブル機器などへの応用が期待されます。 本研究成果は、学術誌ACS Omegaに2026年1月20日付で掲載されました。 図: 延伸技術により電気で動く「やわらかい糸(ソフトファイバアクチュエータ)」を実現した。 【論文情報】 タイトル:Thermally drawn soft dielectric elastomer actuator fiber 著者:Yuto Akimoto, Gildas Coativy, Jean-Yves Cavaillé, Jérôme Adrien, Eric Maire, Yuanyuan Guo* *責任著者: 東北大学学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 東北大学大学院医工学研究科 バイオファイバ医工学分野 准教授 郭媛元 掲載誌:ACS Omega DOI:10.1021/acsomega.5c09586 URL: https://doi.org/10.1021/acsomega.5c09586 プレスリリース: 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/01/press20260121-03-soft.html 東北大学大学院医工学研究科 https://www.bme.tohoku.ac.jp/