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丹羽准教授グループ『米国科学アカデミー (PNAS)』に論文掲載
2022.08.22
先天性の脳神経疾患は様々な遺伝子変異が原因となっています。その中でも「KIF1A」とよばれる遺伝子に高頻度で変異がみられることが近年の研究でわかってきました。しかし、KIF1A遺伝子の変異がどのように神経細胞の異常を引き起こすのかは不明でした。
東北大学学際科学フロンティア研究所先端学際基幹研究部丹羽伸介准教授の研究グループは、広く使われているモデル生物である線虫にヒトのKIF1Aの疾患変異を導入して、疾患モデル線虫を作製しました。その結果、線虫では神経細胞のシナプスに異常が起こっていることがわかりました。また、疾患モデル線虫を利用することでKIF1Aの異常を部分的に正常に戻す方法も発見しました。
今後はこの疾患モデル線虫を用いて治療薬の探索を行うことなどが可能となるため、本研究の成果は先天性神経疾患の新しい治療法につながる可能性が考えられます。
本成果は『米国科学アカデミー紀要』誌に2022年8月2日付で掲載されました。
論文情報:
Anazawa Yuzu (co-first author), Kita Tomoki (co-first author), Iguchi Rei, Hayashi Kumiko, Niwa Shinsuke (2022)
“De novo mutations in KIF1A-associated neuronal disorder (KAND) dominant-negatively inhibit motor activity and axonal transport of synaptic vesicle precursors”
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America vol.119 (32) e2113795119
DOI: 10.1073/pnas.2113795119