東北大学
学際科学フロンティア研究所

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才田淳治教授(先端学際基幹研究部)の論文発表およびプレスリリースのお知らせ

2015.07.10

才田淳治教授(先端学際基幹研究部)

『Scientific Reports (Nature Publishing Group)』に論文掲載、および報道発表


学際科学フロンティア研究所 先端学際基幹研究部の才田淳治教授は、大阪大学大学院基礎工学研究科 譯田真人助教、尾方成信教授および米国マサチューセッツ工科大学(MIT)Ju Li教授と共同で、金属ガラスの構造若返り現象を実験およびシミュレーションによって理論的に証明することに成功し、科学誌Scientific Reports (Nature Publishing Group)に発表しました。
金属ガラスは長周期規則構造(結晶構造)をもたないランダム原子配列構造を有する金属材料で、高強度、高硬度で広い弾性変形領域と低ヤング率(極めてたわみやすい)をもった特異な金属材料です。また200~400℃程度の比較的低温で水飴のように粘性流動を示すことから原子レベルでの平滑性をもった精密成形加工が可能であるという特徴も有しています。
しかしながらこのようなガラス構造では、低温での熱履歴によって構造緩和と呼ばれる原子配列の微小な変化が生じて脆化するということが問題となっていました。研究グループではガラス遷移温度と呼ばれる粘性流動を開始する温度直上での熱処理と再急冷によってガラス構造を延性に富んだ未緩和構造に逆戻りさせる現象(構造若返り現象)を実験的に示し、その現象を分子動力学シミュレーションによって理論的に証明することに成功しました。この成果はランダム原子配列構造の物性解明という基礎的学理の成果に加えて、金属ガラス材料の応用における革新的な構造制御法を提案するものです。
本成果は科学研究費補助金基盤研究A「局所不均質構造金属ガラスの応力状態と変形および動的構造遷移機構」(平成23~26年度)および東北大学学際科学フロンティア研究所研究助成「学際研究促進プログラム」(平成26~28年度)の支援を受けて行った研究の一部です。

掲載論文:
Masato Wakeda, Junji Saida, Ju Li, Shigenobu Ogata: Controlled Rejuvenation of Amorphous Metals with Thermal Processing., Scientific Reports. 5:10545| DOI: 10.1038/srep10545.

プレスリリース:
東北大学

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