東北大学
学際科学フロンティア研究所

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ナノグラニュラー薄膜を用いた可変周波数フィルタの創製

2023年4月14日『Advanced Electronic Materials』誌に論文掲載

2023.06.27

周波数フィルタは、電気通信システムや信号処理システムなどの電子アプリケーションにおいて広く活用されており、特定の周波数帯域において目的の信号を送信し、望ましくない周波数帯域の信号を遮断または抑制することができます。このフィルタは、スイッチドキャパシタネットワーク、マイクロエレクトロメカニカルシステム、強誘電体、強磁性膜など、多様な技術を利用して、通過帯域の周波数を効果的に調整することが可能です。さらに、チューナブル周波数フィルタは、複数の周波数をカバーし、マルチバンド動作における様々なシナリオに対応できます。

 曹 洋 助教(東北大学・学際科学フロンティア研究所・新領域創成研究部、現 湖北大学)
 小林 伸聖 主席研究員((公財)電磁材料研究所)
 王 誠 学術研究員(東北大学・学際科学フロンティア研究所)
 前川 禎通 教授(理化学研究所)
 高橋 三郎 学術研究員(東北大学・材料科学高等研究所)
 増本 博 教授(東北大学・学際科学フロンティア研究所・先端学際基幹研究部)
の研究グループは、磁性ナノ粒子を絶縁性マトリックスに分散させたナノグラニュラー薄膜を開発しました。この薄膜では、緩和周波数が電界で変化することを初めて報告し、この現象を説明するために新しい非対称電荷トンネルモデルも構築しました。

本研究では、電気的に調整可能な周波数特性を持つ誘電体グラニュラー材料を用いて、交流輸送応答の誘電緩和周波数を直流電界で制御できる新たな誘電体ナノグラニュラー材料が実証されました。この材料は、RFローパスフィルタやアンテナの簡素化や小型化に応用できると期待されています。

本研究成果は、2023年4月14日付けの「Advanced Electronic Materials」に掲載されました。
さらに本誌6月号のFront Cover(Volume 9, Issue 6 June 2023)にも選出されました(写真)。
 
 
論文情報:
タイトル:Novel Dielectric Nanogranular Materials with an Electrically Tunable Frequency Response,
著者:Yang Cao, Nobukiyo Kobayashi, Cheng Wang, Saburo Takahashi, Sadamichi Maekawa, Hiroshi Masumoto,
掲載誌:Adv. Electron. Mater. 2023, 2201218
DOI:10.1002/aelm.202201218
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/aelm.202201218
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