東北大学
学際科学フロンティア研究所

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複数のらせん状流路を持つポリマー製ファイバーの開発に成功 ─ 微量の細胞や粒子の混合や分離に使う微小遠心機への応用を目指す ─

2024年1月22日『Microsystems and Nanoengineering』誌に論文掲載および1月26日プレスリリース

2024.01.26

マイクロ流体技術はマイクロリットルスケールの流体を操作し応用する手法で、生命科学や化学、材料工学など多岐に渡る分野で利用されています。その中でも慣性力を利用して細胞や粒子のサイズによって分離したり混合したりするらせん型のマイクロ流路は、低コストで運用が容易なため、研究や実用現場で広く応用されています。
 
従来のマイクロ流体デバイスの多くは平面基板上に半導体製造技術のリソグラフィ(注3)によって作製されています。しかし流路形状を細かく制御できる反面、材料の選択制限や製造工程の複雑さ、平面構造に限定されるといった課題が存在します。
 
東北大学学際科学フロンティア研究所の郭媛元准教授と工学部学部生の加藤駿典氏(学際研ジュニアリサーチャー)、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のエイミー・シェン教授とダニエル・カールソン博士(当時研究員)で構成された学際的な研究チームは、これらの課題を解決するために、光通信ファイバーの製造技術である熱延伸法を改良し、卓上型回転熱延伸法(mini-rTDP)を開発しました。そしてこの新たな手法を利用して、三次元らせん型微小流路を持つポリマーファイバーを開発することに成功しました。
 
本研究成果は、学術誌Microsystems and Nanoengineeringに2024年1月22日付で掲載されました。本研究は主に沖縄科学技術大学院大学(OIST)SHINKAプログラム、東北大学のSHINKAのマッチングファンドの支援を受けて実施されました。
 

図:熱延伸法によるファイバー内三次元らせん流路を構成した微小遠心機の実現。

論文情報:
タイトル:Twisted Fiber Microfluidics: A Cutting-Edge Approach to 3D Spiral Devices
著者:Shunsuke Kato, Daniel W. Carlson, Amy Q. Shen*, Y. Guo*
*責任著者:
東北大学学際科学フロンティア研究所 准教授 郭媛元
沖縄科学技術大学院大学 教授 Amy Q. Shen(エイミー・Q・シェン)
掲載誌:Microsystems and Nanoengineering
DOI: 10.1038/s41378-023-00642-9
URL: https://doi.org/10.1038/s41378-023-00642-9
東北大学大学院工学研究科
https://www.eng.tohoku.ac.jp/news/detail-,-id,2763.html
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