東北大学
学際科学フロンティア研究所

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タンパク質の品質管理を担う酵素を高活性化する低分子を開発 アルツハイマー病、II型糖尿病などに対峙する新しい創薬戦略

2024年6月4日『Chemical Communications』誌に論文掲載およびプレスリリース

2024.06.04

PDIファミリー酵素は生体内でタンパク質の品質管理を担う酵素のグループです。本酵素の機能が失われることと、構造異常タンパク質が引き起こすパーキンソン病やアルツハイマー病、II型糖尿病などのミスフォールディング病との関わりは深く、本酵素の活性亢進剤は新たな治療戦略に貢献することが期待されていました。
 
東北大学大学院生命科学研究科の倉持円来氏(学際高等研究教育院生、博士後期課程学生)、学際科学フロンティア研究所の奥村正樹准教授、金村進吾助教、東京農工大学大学院工学府の山下有希乃氏(博士前期課程学生)、東京農工大学大学院工学研究院の村岡貴博教授、東海大学理学部の荒井堅太准教授の研究グループは、新しいアプローチによる薬剤開発によって、PDIファミリーの酵素活性を亢進する化合物を示しました。本分子によってPDIファミリー酵素は、最大4倍の触媒速度を達成しインスリンなど幅広い基質の生産収率向上に成功しました。この成果は、PDIファミリー酵素の機能低下によって引き起こされるミスフォールディング病の治療において、全く新しいアプローチとなる可能性が期待されます。
 
本研究成果は、英国化学会誌Chemical Communicationsにて、2024年6月4日付で公開されました。また同誌のInside Front Coverに採用されています。


論文情報:
タイトル:Boosting the enzymatic activity of CxxC motif-containing PDI family members
著者:Tsubura Kuramochi, Yukino Yamashita, Kenta Arai, Shingo Kanemura, *Takahiro Muraoka and *Masaki Okumura
*責任著者:東北大学 学際科学フロンティア研究所 准教授 奥村正樹
東京農工大学 大学院工学研究院 教授 村岡貴博
掲載誌:Chemical Communications
DOI:10.1039/D4CC01712A
URL:https://doi.org/10.1039/D4CC01712A
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