東北大学
学際科学フロンティア研究所

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材料発見を大幅にスピードアップできるAIモデルを開発 ―新しいエネルギー材料や量子材料の迅速な設計が可能に―

2024年9月12日『Advanced Materials』誌に論文掲載および10月15日プレスリリース

2024.10.15

エネルギー応用に最適な物質を設計する上で、固体材料の構造と物性の関係を理解することは極めて重要です。これまでは、材料構造から物性を予測するための強力なツールとしてグラフニューラルネットワーク(GNN)が活用されてきました。しかし、材料の立体構造をコンピューター上で表現するのが難しいため、従来のGNNで多くの複雑な材料の特性を予測することは依然として困難です。そこで、このボトルネックを克服するための新しいGNNモデルが提案されています。
 
東北大学学際科学フロンティア研究所のグエン タン フン(Nguyen Tuan Hung)助教は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のミンダ・リ(李明达, Mingda Li)教授、岡部遼太郎氏(博士課程学生)、アピチャトメティ・チョトラッタナピトゥク(Abhijatmedhi Chotrattanapituk)氏(博士課程学生)と共同で、GNNモデルに「普遍的な」アンサンブル埋め込み層を使用した新たなAIモデル「GNNOpt」を開発しました。この埋め込み層は、従来の予測力を向上させるための最適な表現と材料を自動的にマッチングさせる機能を持ち、GNNOptは結晶構造のみを基にした光学スペクトルの精密な予測と、従来の量子シミュレーションの最大100万倍の速さでの計算が可能です。
 
今後、GNNOptは光起電力材料や量子材料の開発を大幅に加速させることが期待されます。
 
本成果は9月12日、学術誌Advanced Materialsに掲載されました。
 
 

図1. 結晶構造から光学スペクトルを予測するGNNOptのワークフロー。結晶構造を入力とし、全ての光学スペクトルを出力として、太陽電池材料や量子材料を同定します。

論文情報:
タイトル:Universal Ensemble-Embedding Graph Neural Network for Direct Prediction of Optical Spectra from Crystal Structures
著者:Nguyen Tuan Hung*, Ryotaro Okabe, Abhijatmedhi Chotrattanapituk, Mingda Li*
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 Nguyen Tuan Hung
マサチューセッツ工科大学 准教授 Mingda Li
掲載誌:Advanced Materials
DOI: 10.1002/adma.202409175
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202409175
 
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