東北大学
学際科学フロンティア研究所

トピックス

児島 征司 助教(新領域創成研究部)

2016.10.12

兒島 征司 助教(新領域創生研究部)

『Journal of Bacteriology』に論文掲載

掲載日/2016年9月19日


 

多様な薬剤に対して耐性を示す多剤耐性の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の存在は現代の医療現場における深刻な問題となりつつあります。本菌の多剤耐性化機構の特徴として、多くの場合、本菌に対する薬剤流入経路として重要な外膜チャネル(ポリン)の欠失を伴うことが知られていましたが、その理由はよくわかっていませんでした。児島助教は、カリフォルニア大学バークレー校のH. Nikaido 教授の研究に従事し、ベータラクタム系抗生物質等の薬剤に対する本菌のポリン透過性を解析しました。その結果、本菌のポリンは様々な薬剤に対して高い透過性を持っていることがわかりました。従って、本菌においては、このような高透過性ポリンが存在するときと欠失したときで菌体に対する薬剤流入量が大きく変化することがわかりました。本結果から、多剤耐性菌におけるポリンの欠失現象は、薬剤流入経路の遮断により細胞の薬剤耐性度が上がるという、生理的意義を伴っていることが初めて明らかになりました。本成果は、肺炎桿菌の多剤耐性化機構の理解に貢献するとともに、グラム陰性細菌の多剤耐性問題解決に向けた研究の一助となります。
本成果は米国微生物学会が発行する学術誌 Journal of Bacteriology に9月19日付で掲載されました。

掲載論文:
Etsuko Sugawara, Seiji Kojima and Hiroshi Nikaido, "Klebsiella pneumoniae major porins OmpK35 and OmpK36 allow more efficient diffusion of β-lactams than their Escherichia coli homologs OmpF and OmpC", Journal of Bacteriology, 2016, doi: 10.1128/JB.00590-16

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