東北大学
学際科学フロンティア研究所

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木材由来のバイオマス資源から優れた特性のポリマー合成に成功 高機能と分解性を兼ね備えた特性が様々な産業で活用されることに期待

2025年1月22日『Polymer Chemistry 』誌に論文掲載および1月24日プレスリリース

2025.01.24

低環境負荷の観点から、化石資源に依存しないバイオマス資源を用いた樹脂開発は、持続可能な社会の実現につながります。植物や木材から誘導される基礎化学原料は石油由来のものとは異なる分子構造を持ち、バイオマス由来特有の物性が期待されますが、この構造の複雑さゆえに、樹脂を合成する際の重合反応におけるモノマーの配列は無秩序、またはその精密制御が難しいという課題が残されていました。
 
東北大学学際科学フロンティア研究所の田原淳士助教、同大学大学院薬学研究科の谷代省吾大学院生と土井隆行教授らの研究グループは、九州大学先導物質化学研究所の工藤真二准教授、星光PMC株式会社の外城稔雄氏らと共同で、木材や廃紙から製造可能なバイオマス化合物「レボグルコセノン(LGO)」をモノマーの一つとして用いる、分子鎖が精密に配列された新しいバイオベースポリマーの合成に成功しました。このポリマーは高耐熱性、旋光性、耐水性といった機能面と水中での分解性というサステナビリティを兼ね備えており、次世代の石油代替樹脂としての応用が期待されます。
 
本成果は 2025年1月22日付で、英国王立化学会発行の学術誌 Polymer Chemistry に掲載されました。また学術誌の表紙(Front Cover)への採択が予定されています。


図:本研究ではLGO を用いた精密配列されたポリマーの合成に成功した。ポリマーは白色固体で、無色透明のフィルムへの加工も可能である。

論文情報:
タイトル:Stereoselective Polycondensation of Levoglucosenone leading to Water-Degradable Biopolymers
著者:Atsushi Tahara*, Shogo Yashiro, Toshio Hokajo, Shinji Kudo, Yuta Yoshizaki, Tomohiro Konno, Takayuki Doi
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 田原淳士
掲載誌:Polymer Chemistry
DOI:10.1039/D4PY01094A
URL:https://doi.org/10.1039/D4PY01094A
 
 
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